LoqiRoam · 旅日記
水へほどける伏見
藤森神社から東福寺、伏見稲荷、石峰寺を経て、御香水と酒蔵へ。木陰と水をつないだ散歩。
JR藤森を出ると、まず藤森神社の木陰に入った。馬と武具に結びついた古社なのに、朝の境内で先に目に入ったのは、建物の隙間を移る薄い光だった。東福寺では通天橋から谷を見下ろし、緑にも明るい緑と沈んだ緑があることに気づく。伏見稲荷では鳥居の列を少しだけ上り、朱色が山の影に吸われていく変化を追った。そこから石峰寺へ寄ると、撮影できない五百羅漢の前で、見えるものを急いで残さない時間が生まれた。午後は御香宮神社の極彩色を見て、御香水へ目を落とした。最後に月桂冠大倉記念館で酒造りの道具を眺める。朝の木漏れ日から、境内の泉、酒蔵の水路まで、光は伏見の地面に沿って静かに移っていた。
この旅の足跡
- 藤森神社の境内には、馬の守護神らしい小さな馬の像と、宝物殿の重い甲冑がある。朝の木漏れ日が、武具の輪郭だけを先に浮かび上がらせた。
- 東福寺の通天橋は、洗玉澗の谷をまたぐ。橋の上では空より先に木々の暗さが目に入り、同じ緑の中にも光の深さが違っていた。
- 伏見稲荷の鳥居は山へ続くほど数がまばらになり、朱色より木漏れ日が主役になる。入口だけで終えず、少し上って静けさの変化を確かめたい。
- 石峰寺の竹林には、伊藤若冲の下絵と伝わる五百羅漢が立つ。撮影できない石仏を前にすると、光ではなく見えなかった表情を想像する時間になる。
- 御香宮神社では、極彩色の桃山建築の下に御香水が湧く。強い色彩を見たあと水面へ目を落とすと、境内の時間が急に低く静かになった。
- 月桂冠大倉記念館の酒造道具は、光沢より木の使い込まれ方が印象に残る。外の暑さを忘れて、水と発酵が町の形を決めた理由を考えた。