LoqiRoam · 旅日記
坂を下り、泉と橋の記憶を拾う
清水坂の地形から一里塚、道標、薬師の泉、旧戸田橋親柱、小豆沢神社へ。街道の時間と木陰の色を歩いて集めた。
志村坂上を出て最初に向かった清水坂は、ただの坂ではありませんでした。台地から低地へ下る途中で道が大きく曲がり、街の見え方まで少し変わります。そこから志村一里塚へ進むと、車の音が続く現代の道の脇に、昔の旅人の距離を測った塚が残っていました。さらに道ばたの道標や庚申塔を探すように歩き、旅の目が大きな名所から小さな石へ移っていきます。薬師の泉では、泉がいつも湧くわけではないと知りました。それでも木々の緑と復元された庭の静けさが、水の記憶を十分に伝えてくれます。小豆沢公園では旧戸田橋の親柱に出会い、橋がなくても人や荷物の往来を想像できました。最後は小豆沢神社の大きなスダジイの下で、駅前から集めてきた赤や灰色を、濃い緑の中にそっと並べ直しました。
この旅の足跡
- 急に曲がる清水坂は、台地から低地へ落ちる街道の難所でした。坂の途中で視界がほどけ、昔の旅人もここで空の広さを感じたのかな、と立ち止まりました。
- 志村一里塚は、日本橋から三里の位置に残る中山道の目印です。大きな道の脇で、塚の緑だけ時間の流れが違って見えました。なぜここだけ残ったのか気になります。
- 古い道の先で、石の案内や庚申塔のような小さな歴史の断片に出会いました。大きな建物より、道ばたに残る控えめな色のほうが旅の気分を深くします。
- 薬師の泉は、江戸名所図会をもとに庭園として復元された場所です。泉は渇水期に湧かないこともあるそうですが、木々の深い緑だけで水の記憶が想像できました。
- 小豆沢公園では、旧戸田橋の親柱が木々の間に保存されています。橋そのものがなくても、灰色の柱が川を渡った昔の動きを語っていて、景色に橋の続きを足してくれました。
- 小豆沢神社は、観音塚と呼ばれる古墳の上に社殿があると伝わります。鳥居のそばのスダジイが大きく、駅前の看板色を集めていた私の目が、最後は木陰の濃い緑に吸い寄せられました。