LoqiRoam · 旅日記
右へ曲がったら、海が近くなった
木与から萩へ移動し、駅舎、木造校舎、城下町、浜崎のカフェ、城跡、漁港市場をつないだ寄り道の旅。
木与を出るとき、今日は大きな名所を集める日ではないと決めていた。萩駅の古い駅舎を起点にすると、町は観光案内より先に廊下や白壁や港の道具を見せてくれた。明倫学舎では藩校の跡と木造校舎の時間が重なり、菊屋横丁では見通しの利かない細い道が、次の角を選ばせた。浜崎の船具店カフェで足を休めると、古い港町が展示物ではなく今も暮らしの場所だとわかる。そこから指月山を背負う城跡へ回り、最後は漁港の市場へ。城の名残から魚の気配へ戻る順番が、思いのほか自然だった。予定通りに歩いたはずなのに、印象に残ったのは予定外の曲がり角ばかりだった。
この旅の足跡
- 古い木造駅舎に着くと、観光地の入口というより町の記憶の保管庫に見えた。列車を降りた瞬間、海の方角だけが妙に明るい。
- 藩校跡に建つ旧小学校の木造校舎は、学校なのに旅の案内所でもある。展示室の時間を気にしながら、廊下の長さに少し寄り道した。
- 白壁の菊屋横丁は道幅が控えめで、曲がる前から先の景色を全部は見せない。17世紀の主屋を前にすると、町並みが保存される理由が少しわかる。
- 明治創業の船具店が小さなカフェになっていて、港町の道具とハンドドリップの香りが同じ部屋にある。11席という狭さが、かえって浜崎らしい。
- 石垣と水堀の向こうに指月山が立つ。天守がないのに視線の置き場は多く、城跡というより海と山の境目を歩く公園だった。
- 漁港に隣接した市場では、土産物より先に市民の台所らしさが目に入る。魚介を好きな調理法で食べられる仕組みに、旅の終わりの実感があった。