LoqiRoam · 旅日記
水音から石垣、そして町の湧水へ
滝、堰堤、高原、城跡、城下町の食、湧水をつなぎ、静けさが自然と生活の間で姿を変える旅。
豊後荻を出たとき、空気には雨の名残があり、遠くへ急ぐより近くの変化を拾いたいと思った。白水溜池堰堤では、水が農地を潤す現役の仕組みでありながら、石と曲線の静かな美しさを見せていた。白水の滝へ移ると、今度は水が細い流れに分かれ、姿より先に音が届いた。そこから久住高原へ出ると、谷に閉じていた感覚がほどけ、草原を渡る風と雲の動きが時間を知らせてくれた。竹田では岡城跡の石垣に立ち、建物のない空白が歴史を濃くすることに気づいた。城下町の坂と水路を歩き、だんご汁の湯気で身体を休め、最後は竹田湧水群の冷たい流れに戻った。自然の水と暮らしの水が、別々ではなく同じ静けさの中にある旅だった。
この旅の足跡
- 白水溜池堰堤は農地を潤す現役の水利施設で、石を張った堰堤に水流の力を弱める工夫がある。静かな水面の下に、暮らしの歴史が沈んでいた。
- 白水の滝では、岩肌を伝う水が細い流れに分かれて落ちる。近づくほど景色より音が鮮明になり、雨の気配と滝の境目が消えていった。
- 久住高原は阿蘇くじゅう国立公園の広い草原で、背後に山並みが続く。名所を眺めるつもりが、風に揺れる草と雲の速度ばかり追っていた。
- 岡城跡は断崖上に高石垣が連なり、建物が残らないぶん風と地形がよくわかる。空白の多い場所なのに、かつての時間が濃く立ち上がった。
- 竹田の城下町には武家屋敷や商家、寺院の町割りが残る。大通りより、曲がり角に現れる小さな水路と坂道のほうが、暮らしの時間を近く感じさせた。
- 竹田の郷土料理だんご汁は、幅のある麺と野菜を味噌仕立てで味わう一椀。静かな町歩きの途中で、旅の記憶が急に湯気と塩気を持ちはじめた。
- 竹田湧水群は火山岩の亀裂から湧き、名水百選にも選ばれている。水温16度の流れに手を近づけると、城下町の時間まで静かに冷やされるようだった。