LoqiRoam · 旅日記
湿原から港へ、光の温度
兜沼から古木、サロベツ湿原、豊富温泉を経て稚内港へ。光の反射と温度の変化を追った。
兜沼では、風が水面を細かくほどいていた。水鳥の来る湖畔を少し歩き、近くの古い松へ寄ると、朝の光と木肌の暗さが同じ道に並んだ。そこからサロベツ湿原へ移る。約1kmの木道では、水と草が同じ高さにあり、平らな景色が風のたびに波打った。広さは静かだが、決して止まってはいない。豊富温泉では、油分を含む湯の気配と白い湯気が、湿原とは違う柔らかな明るさをつくっていた。最後に稚内公園へ上がると、サロベツ原野と海が遠くでつながり、港へ下りた北防波堤ドームでは柱の間に長い影が並んでいた。水、木、草、湯気、海。光は場所を変えるたび、温度まで変えていた。
この旅の足跡
- 兜沼公園は水鳥の飛来地として知られ、湖畔の芝生に朝の光が低く残っていた。静かな水面なのに、風の向きだけが先に見えた。
- 兜沼公園の近くに立つ言問の松は、千年以上の時間を抱えると紹介されている。水面の今朝の光と、木肌の暗い時間が並んで見えた。
- サロベツ湿原センターには約1kmの木道があり、湿原の水と草を近い高さで見られる。風が渡るたび、平らな景色に波のような動きが生まれた。
- 豊富温泉は油分を含む源泉で知られ、湯気の向こうでは夕方の建物が柔らかく見えた。湿原の風を受けた後だから、光にも温度があると感じた。
- 稚内公園の開基百年記念塔は、サロベツ原野から利尻・礼文、さらに北の島影まで望める。高みの光は景色を広げるより、境目を薄くした。
- 北防波堤ドームは全長427m、70本の柱を持つ半アーチの回廊。海側の明るさが長い影に変わり、防ぐ建物が光の道にも見えた。