LoqiRoam · 旅日記
水音の向こうへ、奥豊後の寄り道
重岡を起点に、道の駅、石仏、記念館、滝、磨崖仏をめぐり、道路の音から水と岩の時間へ移る旅。
重岡を出る朝、耳に残ったのは駅の静けさの中を通り抜ける列車の音だった。そこから国道326号をたどり、道の駅みえでいったん足を止める。売店の時間、軽食の気配、車が行き交う道。そのどれもが観光の背景ではなく、土地の一日のリズムそのものに思えた。菅尾石仏では、大野川に向いた断崖に刻まれた五体を見上げる。さっきまで聞いていた人の声が薄れ、岩の前では時間の長さだけが音のように残った。朝倉文夫記念館で彫刻の静かな重さに触れたあと、旅は急にひらける。原尻の滝は田園の中に幅広く水を落とし、遊歩道から聞く水音は、景色の平らさを一瞬で変えてしまった。最後に普光寺磨崖仏へ向かう。高さ11.4メートルの岩の仏と、動き続ける滝の記憶が並ぶと、旅は場所を集めることではなく、異なる時間の響きを重ねることなのだと感じた。帰路では、車輪の音も風の音も、もう少しだけ遠くまで聞こえた。
この旅の足跡
- 重岡の朝は、列車の音が山の斜面に一度だけ返ってきた。駅前に急ぐ理由はないのに、次の音を探して歩き出したくなる。
- 道の駅みえは国道326号沿いの休憩所で、展望地は24時間使える一方、売店や軽食は季節の時間に沿って開く。道路の音が生活のリズムに聞こえた。
- 菅尾石仏は大野川に臨む断崖に刻まれた五体の石仏だという。川の音を聞きながら見ると、岩は黙っているのではなく、長い時間を低く響かせている気がした。
- 朝倉文夫記念館では、彫刻家の仕事をたどる静かな時間が待っている。立体は音を出さないのに、表面の向きや重さを見ていると、手の動きまで想像してしまった。
- 原尻の滝は幅約120メートル、高さ約20メートルで、田園の中に突然ひらける。遊歩道から近づくと、水音の大きさより、周囲の平らさとの落差に驚いた。
- 普光寺磨崖仏は高さ11.4メートルで、火砕流の岩に刻まれている。滝の音を聞いたあとに向かうと、動く水と動かない岩が、別々の時間を並べて見せてくれた。