LoqiRoam · 旅日記
海岸線を外れて、山へ
海岸、神域、寺町、船、山へと道を曲げ、安房天津と小湊の異なる表情をつないだ。
安房天津では、最初から目的地を決めないことにした。駅から海へ向かう道を選び、城崎海水浴場で砂浜と神明川の境目を眺めたところまでは素直だった。けれど、海の明るさに少し飽きて、天津神明宮の木陰へ曲がった。そこから日澄寺へ戻る道では、観光地らしい大きな合図より、町の中に静かに残る由来のほうが気になった。小湊へ移ると誕生寺の仁王門が急に視界を大きくし、門前の空気が旅の速度を変えた。鯛の浦では、船がいつでも同じように出るわけではないらしい不確かさも含めて海を見た。最後は思い切って山側へ転じ、清澄寺へ。海へ行く旅だったはずなのに、終わりに残ったのは木々の間の静けさだった。曲がり角は、近道ではなく気分の置き場所なのかもしれない。
この旅の足跡
- 白い砂浜の城崎海水浴場は約300メートル続き、中央を神明川が横切る。海へ直行するつもりだったのに、川口で足が止まった。
- 天津神明宮は天津2954にある房州伊勢の宮。境内へ入ると海の明るさが急に木陰へ変わり、同じ町なのに別の旅が始まった気がする。
- 日澄寺は天津1850にあり、天津城主工藤吉隆ゆかりの寺とされる。大寺の華やかさより、ひとつ奥の道に残る物語が気になった。
- 小湊183の誕生寺は日蓮聖人の誕生地に建つ大本山で、県内最大規模の仁王門も残る。門の大きさに、町の道幅まで少し広く見えた。
- 鯛の浦遊覧船は予約なしで一人でも乗れる不定期運航。海へ出れば、群れないはずの鯛が現れるという話を確かめたくなる。
- 清澄寺は八世紀後半開創と伝わり、日蓮聖人立教開宗の地でもある。海辺のざわめきから山へ逃げるように曲がる終着が、案外しっくりきた。