LoqiRoam · 旅日記

耳の奥に残った会津

葡萄畑、窯元、酒蔵、庭園、食、城跡をめぐり、会津の時間を音の変化としてたどった。

新鶴を出たとき、旅はまだ音のない紙片のようだった。まず葡萄畑の近くで、棚と垣根に育つワイン用ぶどうを思い浮かべた。収穫を待つ畑の静けさから会津本郷へ向かうと、土を挽く回転や窯の火の長い時間が、町の奥から聞こえてくる気がした。嘉永蔵では発酵を待つ酒の気配に立ち止まり、御薬園では池の揺れに耳を預けた。途中でソースカツ丼の衣を割る音が身体を戻し、最後は鶴ヶ城の石垣を渡る風へ。見た場所より、音が切り替わった瞬間のほうが、深く残る午後だった。

この旅の足跡

  1. 新鶴ではワイン用ぶどうを棚栽培と垣根栽培の両方で育てている。畑の静けさの中に、収穫を待つ時間の長さが見えた。
  2. 会津本郷焼は約四百年前に始まり、いまも町に複数の窯元が息づく。器を見るほど、窯の火が消えた後の静けさが気になった。
  3. 末廣酒造嘉永蔵は酒蔵見学ができ、案内は約30分。古い蔵の中では、発酵を待つ時間そのものが町の音を低くしているようだった。
  4. 御薬園は心字の池を中心に自然を模した景観が広がり、8時30分から17時まで開園している。水面の小さな揺れが、町の喧騒を遠ざけた。
  5. 鶴ヶ城公園では白い天守と石垣の広がりが視界をつくる。風が石の角で向きを変え、読む歴史より先に空間の大きさを感じた。
  6. 会津若松のソースカツ丼は千切りキャベツと甘めのソースが特徴。衣を割る音で身体が旅へ戻り、食事も土地の記憶になると気づいた。
地図と足跡で読む