LoqiRoam · 旅日記
看板の余白から、川と坂へ
東高須の路地から太田川放水路、西広島商店街、旭山神社、高須台の高台へ。看板と地名を追う歩きが、最後に街の眺めへ変わった。
東高須では、駅を目的地にせず、まず周囲へほどけていく道を選んだ。住宅地の細道を歩いていると、電車の気配が遠のいたり戻ったりして、街の入口が一枚ではないことに気づく。そこから太田川放水路へ寄り道すると、建物の隙間にあった空が急に大きくなり、看板を読む速度が風と水面に合わせてゆるんだ。西広島商店街では、己斐の物語を伝える看板に出会い、地域の商いが文学や記憶の入口にもなることに少し驚いた。その名前を追うように旭山神社へ上ると、己斐の由来や小高い丘の眺めが、さっき見た看板に奥行きを与えてくれた。最後は高須台の公園へ坂を上り、屋根と道の向きを見下ろした。文字の多い通りから、水辺、商店、神社、緑へ。歩くたびに街の読み方が変わり、終わるころには、知らない場所がいくつかの小さな手がかりで結ばれていた。
この旅の足跡
- 駅から少し離れると、電車の気配と住宅地の細道が交互に現れる。大きな名所を探す前に、曲がり角ごとに表情が変わる街の入口を歩いてみたくなった。
- 太田川放水路は西区庚午北にあり、川沿いを歩いたり走ったりできる生活の水辺だ。街の看板を追っていた目が、ここでは風と水面の光に引っぱられた。
- 西広島商店街には、己斐を舞台にした物語にちなむ『ズッコケ三人組のふるさと己斐』の看板がある。商店街の案内が文学の入口にもなるのが面白い。
- 旭山神社は己斐西町の小高い丘にあり、己斐の地名発祥や『こいの宮』の由来を伝える。境内へ上る道そのものが、看板の文字を追う散歩の続きを作っていた。
- 高須台中央公園は高台に位置する見晴らしのよい公園。坂を上った先で、さっきまで歩いていた住宅地の屋根や道の向きが、別の地図のように見えてきた。
- 公園の高台では、都市のすぐそばにある緑の余白が印象に残った。看板、川、商店、神社を順に見てきたあとだからこそ、何も書かれていない景色も読める気がした。