LoqiRoam · 旅日記
角を選ぶと、町の奥行きがほどけた
下野代から多度の町並み、神社、門前菓子、多度峡、山の眺望、喫茶店へ。曲がり角ごとに土地の表情を拾った。
下野代では、駅を出てすぐに目的地を決めきらず、住宅と田畑のあいだに伸びる道を眺めた。遠くの山が見えるたび、次の角だけを決める。多度の古い家並みを抜けて多度大社へ向かうと、上げ馬神事の記憶を抱えた境内が道の気配を変えた。門前の菓子店で八壺豆の話を拾い、それから多度峡へ進む。水音と木陰で歩く速度を落とし、最後は多度山上公園の展望台から濃尾平野を見渡した。広い景色のあとに喫茶店へ戻ると、旅はまた町の日常へ溶けていく。寄り道は遠回りではなく、角ごとに土地の輪郭を確かめる方法だった。
この旅の足跡
- 下野代駅を出ると、住宅と田畑が混じる景色の先に山並みが見える。駅前で行き先を決め切らず、最初の角を少し長く眺めてから歩き始めた。
- 多度の町には、街道沿いらしい細い道と落ち着いた家並みが残る。観光地らしい派手さはないのに、角を曲がるたび家の向きと空の見え方が変わる。
- 多度大社は多度山の麓に鎮座し、上げ馬神事で知られる。境内へ入ると祭りの熱気を想像させる坂と山の気配が近く、静かな日なのに奥行きがあった。
- 門前の丸繁では八壺豆や紅梅焼、多度ういろなどを扱う。多度峡の水しぶきをかたどる菓子があると知り、山へ向かう前から水辺の気配を味わった。
- 多度峡は川をせき止めた天然プールや、落差25メートルのみそぎ滝で知られる。水遊びの場所というより、町の近くで急に山の音へ切り替わる境目に感じた。
- 多度山上公園の展望台からは濃尾平野が広く見渡せ、名古屋方面のランドマークまで望めるという。遠くを見るために登ったのに、ここへ来るまでの曲がり道のほうが鮮明に残った。
- 多度駅近くのハイコックは朝から夕方まで営業する喫茶店として紹介されている。山と水のあとに珈琲のある町へ戻ると、旅が観光ではなく日常の続きに戻った気がした。