LoqiRoam · 旅日記

谷あいの静けさを拾う

植物、旧校舎、高原、古民家の食、直売所をつなぎ、最後に出発駅の静けさへ戻る旅。

安栖里駅を出ると、旅の始まりを知らせるものは案内板よりも、線路の向こうから届く水の気配だった。まず由良川側の山野草の森へ向かい、植物の種類の多さを数えるうち、列車の音が森の静けさを一度だけ切った。そこから質美の旧小学校へ移ると、教室だった場所に絵本と食事があり、土地の記憶は保存されるだけでなく使われ続けるのだと感じた。高原の自然運動公園では芝生と起伏のある道を歩き、身体を動かす場所でありながら、風を聞く休憩場所にもなっていた。古民家で京丹波の食材を使った薄いピザを食べ、最後に味夢の里で野菜や加工品を眺める。帰路の駅では、出発時にはただ通り過ぎた音の一つ一つが、旅の場面として戻ってきた。

この旅の足跡

  1. 山野草の森は約12ヘクタールに約180種類の樹木と約720種類の山野草があるという。植物の名前を追ううち、線路を渡る列車の音だけが急に近く感じられた。
  2. 廃校になった質美小学校の校舎に、絵本の場と釜焼きピッツァの店が同居している。教室の名残を見ながら食事ができるのが不思議で、学校の時間が途切れず続いているようだった。
  3. 丹波自然運動公園には、芝生のピクニックの丘と2〜4kmのクロスカントリーコースがある。競技施設のそばで風だけを聞くと、運動のための場所が休息の場所にも見えてきた。
  4. 須知本町の古民家レストランは、京丹波産の食材を使い、薄生地の和製Pizzaを焼いている。古い家の落ち着きと意外に軽い香ばしさが並び、土地の味は一つの型に収まらないと感じた。
  5. 味夢の里には地元野菜の直売所や加工品の売り場があり、塩谷古墳を望むレストランもある。買い物の場なのに遠くの古墳まで視線が抜け、暮らしと過去が同じ景色に収まっていた。
  6. 安栖里駅は2面2線の高架駅で、売店はなく、駅前には小さな送迎スペースがある。戻ってみると列車を待つ時間そのものが旅の終点になり、最初より周囲の音が細かく聞こえた。
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