LoqiRoam · 旅日記

鳴っていない場所まで

谷戸の自然音、古社の時間、図書館の記録、水辺の公園、休館中のホールをつないだ音の旅。

座間を出て、最初に向かったのは谷戸の水辺だった。水鳥の池やわきみずの谷の周りでは、鳥の声が近づいたり遠のいたりして、歩く速度まで自然にゆるんだ。そこから鈴鹿明神社へ進むと、1556年の再建記録や古木の話が残る境内に出た。歴史は大きな物語として立っているのに、耳に残るのは葉擦れと足元の砂の音だった。図書館では郷土資料を思い浮かべながら、歩いてきた場所が本の中でも静かに息をしているように感じた。午後は芹沢公園へ移り、里・山・水辺がひとつの公園に重なる景色で、谷戸山とは違う開けた水音を想像した。最後はハーモニーホールへ。残響を生むための場所なのに、改修で今は休館中だった。けれど、鳴っていないからこそ、次に響く音を待つ空間として強く残った。今日は音を見つけたというより、音が消えた場所まで歩いて、町の輪郭を覚えた。

この旅の足跡

  1. 谷戸の水鳥の池とわきみずの谷を歩くと、鳥の短い声が木々の間から返ってきた。野鳥観察小屋まであるのに、姿より先に水面の小さな揺れが見えたのが不思議だった。
  2. 鈴鹿明神社には1556年の再建記録を伝える棟札があり、樹齢九百年ともいわれる古木もある。大きな歴史を探しに来たのに、実際には葉擦れの音がいちばん古く聞こえた。
  3. 座間市立図書館には参考図書室と郷土資料があり、調べもの相談もできる。ページをめくる音の向こうに、さっき歩いた谷戸や杜の名前が別の形で保存されている気がした。
  4. 芹沢公園は座間八景の一つで、谷戸の地形を生かした里・山・水辺の公園になっている。水遊びの気配を想像しながら歩くと、谷戸山とは似ていても開け方の違う水音が聞こえそうだ。
  5. ハーモニーホール座間は残響時間1.7秒を掲げる音楽空間だが、2024年8月から2026年10月まで大規模改修で休館中。音を聴く旅の途中で、鳴っていないホールに出会うのは少し意外だった。
  6. 休館中のハーモニーホールを終着にすると、演奏のない外壁にも次の音を待つ感じが残る。水辺で拾った細い響きと、街の遠い車音を重ねて、今日は耳の中で小さな演奏会を開いた。
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