LoqiRoam · 旅日記
光の向きを探す旅
城跡から神社、武家屋敷、商家を経て、最後に丹波焼の山里へ向かう影の旅。
草野から列車に乗ると、窓の外の田畑はまだ朝の色をしていた。篠山口で降り、城下町へ歩く。篠山城跡では石垣の上から道の線を眺め、町がひとつの器のように影を受け止めていることに気づいた。春日神社の能舞台では音が遠のき、御徒士町の土塀では人の暮らしが細い陰影として残っていた。大正ロマン館でひと息ついたあと、河原町の妻入り商家をゆっくり歩く。間口の狭い家々が連なっているのに、格子の向こうへ差す光は一軒ずつ違う。最後は立杭へ向かった。陶の郷で器と窯の時間に触れると、影は建物に落ちるものだけではなく、土が焼かれるまでの長い時間にも宿るのだと思えた。帰り道、山際の明るさが少しずつ薄れ、今日見たものだけが静かに残った。
この旅の足跡
- 石垣の上から城下を見下ろすと、道の線が影のようにほどけていく。1609年築城と同時に建てられた大書院の静けさにも、町の時間が残っていた。
- 鳥居をくぐると音が一段遠のき、能舞台の輪郭だけが濃く見えた。春日神社は地元で「おかすがさん」と呼ばれ、元旦には翁能が舞われるという。
- 土塀のそばでは、道幅まで昔の気配を保っている。御徒士町には藩主を守った御徒士衆の家屋が残り、明るい壁面に細い木の影が静かに揺れていた。
- レンガの腰台と火の見櫓を持つ旧町役場が、商店街の中で少しだけ洋風の影を落としている。大正ロマン館は10時から17時まで開き、カフェと売店も備える。
- 約600メートル続く妻入り商家は、間口が狭く奥行きが深い。千本格子と大戸の向こうに店が点在し、同じ通りなのに光の入り方が一軒ごとに違って見えた。
- 立杭では、器だけでなく山の斜面そのものが展示室のように見えた。陶の郷は丹波焼を見て知り体験でき、窯元を訪ねる入口にもなる。