LoqiRoam · 旅日記
駅前の色から、川と海の青へ
大野下の民俗文化から高瀬の川港、裏川の石橋、蛇ヶ谷の展望、松原海岸、寺と町家へ進み、駅前の色を町全体の記憶として集めた。
大野下駅を出ると、まずは静かな道の中に残る雨乞いの物語を探した。大野下の祭りは、水田のために天へ願った踊りだという。駅前の緑がただの田園色ではなく、暮らしを支えてきた色に見え始めた。そこから玉名の高瀬へ移ると、景色は川の青に変わった。船着場跡では、昔ここを米や物資が行き交ったことを知り、広い川面を見ながら町の背骨を想像した。裏川では石垣と石橋の灰色に花しょうぶの色が差し込み、古さが重たくならず、季節ごとに表情を変えるのが面白かった。蛇ヶ谷公園では木陰の坂を上り、有明海と雲仙まで視界を伸ばした。さらに松原海岸へ出ると、松林の緑、砂の淡さ、海の青が一枚の絵のように広がった。最後は蓮華院誕生寺奥之院の仁王門で静けさを受け取り、髙瀬蔵の梁と柱の下へ戻った。遠くへ行ったのに、終着ではまた人の暮らしの色に包まれていた。
この旅の足跡
- 大野下八幡宮と八大龍王神社には、江戸時代から伝わる雨乞い奴踊りの記憶が残る。白法被の踊りを想像すると、駅前の静けさにも力強い物語が見えてきた。
- 高瀬船着場跡は菊池川の水運を伝える場所で、川面の広さと昔の米の集散地という話の差に驚いた。駅前の緑が、ここでは水の青へ変わっている。
- 高瀬裏川には江戸時代の石垣や石橋が残り、花しょうぶの季節には細い水路が急に華やぐ。古い石の灰色と花の色が同じ道に並ぶのが面白い。
- 蛇ヶ谷公園の展望所からは玉名市内だけでなく有明海や雲仙まで見渡せる。木陰の濃い緑から遠くの青へ目が抜けて、坂を上ったごほうびになった。
- 松原海岸のしおまちパークには約600メートルの松林遊歩道と砂浜がある。海の青だけでなく、松の深緑と砂の淡い色が続き、静かな海岸なのが意外だった。
- 蓮華院誕生寺奥之院の仁王門は総高3.9メートルの大仁王尊を迎える入口。海辺の広さから一転、参道の赤茶と木陰の深さに包まれて少し背筋が伸びた。
- 髙瀬蔵は明治初期の町家と蔵を改修した多目的施設で、太い梁と柱が残る。最後にここで休むと、今日拾った石、水、木の色が人の暮らしへ戻ってくる。