LoqiRoam · 旅日記

駅前の色見本を持って帰る

備中高松の城跡、水攻め築堤、足守川、足守の町並みと近水園をつなぎ、駅前の色を集めた小さな旅。

備中高松駅を出たときは、駅前の輪郭を少し歩いて見るつもりだった。けれど近くの城跡に立つと、穏やかな公園の緑の下から水攻めの記憶が立ち上がった。蛙ヶ鼻の築堤跡では、田園の中に残る土の線を追いながら、昔ここに水が集まった景色を想像した。そのあと足守川へ出ると、歴史の重さが空と草の色にほどけていく。足守へ寄り道してからは、白壁、格子戸、古い木の茶色を拾い、近水園では池と吟風閣の静かな重なりに足を止めた。駅へ戻るころ、最初はひと色に見えた駅前が、石の白、土の黄、川の青、町の茶、庭の緑に分かれて見えた。小さな旅でも、見る順番を変えると土地はちゃんと奥行きを見せてくれる。

この旅の足跡

  1. 本丸跡と蓮池が残る備中高松城址公園は、駅から歩けるのに空が広い。戦場だった場所が穏やかな緑になっていて、静けさの理由を考えた。
  2. 蛙ヶ鼻の築堤跡では、土を盛った堤の線が田園の中に残る。大規模な水攻めの舞台なのに周囲は静かで、昔の水位を想像すると景色が少し揺らいだ。
  3. 足守川は派手な観光地ではないけれど、水面が空と草をきれいに二つへ分けていた。駅前の色を探していたら、いちばん大きな色見本が川だった。
  4. 足守町並み保存地区では、白壁や格子戸の陰影が曲がり角ごとに変わる。新しい色を探していたのに、古い木の茶色と軒先の植木が強く残った。
  5. 近水園は池泉回遊式の大名庭園で、池の鶴島と亀島、池畔の吟風閣が水面に重なる。静かすぎて、歩く音まで庭の一部に思えた。
  6. 駅へ戻るころ、備中高松は石の白、築堤の土、川の青、町家の茶、庭の緑に分かれて見えた。遠くへ行かなくても、歩く順番で景色は増える。
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