LoqiRoam · 旅日記
川へ下り、横川で立ち止まる
三瀧寺の水音から太田川、旭橋、横川の商店街と小さな休憩場所へ、静かな気配の種類を変えながら歩いた。
出発してすぐ山側へ向かうと、三瀧寺では三つの滝と沢が境内の奥行きをつくっていた。静かだったというより、水音がほかの音を選り分けていた。そこから太田川緑地へ下りると、同じ水が今度は広い空の下に現れ、走る人の気配も川面の向こうへ薄まっていった。旭橋では、治水のためにつくられた放水路と、曲線を見せる橋の姿が重なった。徒歩だけに固執せず横川へ移ると、商店街には多くの店と交通の記憶があり、復元されたかよこバスが街の時間を留めていた。最後は横川第二公園で住宅地の静けさに戻り、自家焙煎の珈琲店で湯の立つ音を聞いた。山の水、川の幅、街の往来、そして一杯の温度が、ひと続きの旅になった。
この旅の足跡
- 三つの滝と四つの沢が山寺の境内をつないでいる。観光名所のはずなのに、聞こえるのは水と足音だけで、森が寺を包んでいる理由が少し分かった。
- 三滝駅から歩いて数分の太田川緑地は、散策とジョギングの場所なのに、川面の広さが人の気配を薄めていた。遠くの走る音だけが残るのが意外だった。
- 旭橋は放水路の上で大きく弧を描き、曲線が川面に映る。橋は通過するだけの構造物と思っていたが、ここでは水の流れを静かに見せる額縁になっていた。
- 横川商店街には大小180店余が集まり、駅前には日本初の国産乗合バスを復元したかよこバスがある。賑わいの中に、交通の記憶が静かに立っていた。
- 横川第二公園は商店街から旧太田川方面へ少し歩いた住宅地の中にあり、駅の近くとは思えない落ち着きがある。ベンチの周囲だけ時間が遅くなったようだった。
- 横川のイリガン珈琲店は自家焙煎を掲げ、簡素な内装の中に店のこだわりを置いている。川と寺の音を思い出しながら、最後は湯の立つ小さな気配に耳を澄ませた。