LoqiRoam · 旅日記
水の形から龍の形まで
越生の町から鎌北湖、黒山三滝、巾着田、サイボクを経て聖天宮へ。水の静けさ、川の地形、地域の味、異文化の建築を順に拾った。
川角を出て越生へ向かうと、駅はただの乗り換え場所ではなく、山と宿場町の境目に立つ小さな観察窓になった。そこから鎌北湖へ進むと、農業用の貯水池が「乙女の湖」と呼ばれていることに出会う。人のために作られた水が、いつの間にか森へ歩き出す入口になっている。その静けさを抱えたまま黒山三滝へ向かい、今度は細い道の先で水音を探した。旅の後半は巾着田へ。高麗川が土地を大きく曲げて作った形を眺めると、花の名所というより川の作品に見えてくる。最後はサイボクで土地の味を補給し、坂戸の聖天宮へ。山と川の一日を、突然現れた龍の柱と鮮やかな建築が別の世界へ持ち上げてくれた。
この旅の足跡
- 越生駅は、越辺川の渓口集落と宿場町の記憶を今も抱えている。ホームを出ると山の方向が近く、旅の最初から町と自然の境目が見えた。
- 鎌北湖は昭和10年に完成した農業用貯水池で、別名は「乙女の湖」。静かな水面の向こうに自然歩道の入口があり、ダム湖なのに山歩きの扉のように見えるのが面白い。
- 黒山三滝は二段に連なる滝を含む県立黒山自然公園の景勝地。滝まで徒歩15分ほどの道のりがあり、到着前から木陰と水音が少しずつ濃くなるのを想像できる。
- 巾着田は高麗川の蛇行が長い年月をかけて作った、きんちゃく形の平地。曼珠沙華で知られる場所だが、花の季節でなくても川が描いた輪郭を歩けるのが発見だった。
- サイボク日高本店では自社牧場由来のブランド豚の精肉やハムを扱い、カフェテリアや農産物直売所もある。山と川の後に、土地の味へ着地できる場所だ。
- 聖天宮は坂戸市にある台湾の本格的なお宮で、釘無しのらせん天井や5mの九龍石柱が見どころ。里山の一日が、最後に鮮やかな龍の建築へ跳ねる。