LoqiRoam · 旅日記
曲がり角の向こう、津軽
津軽鉄道沿線から金木、五所川原、十三湖、高山稲荷へ、文化と水辺と曲がり角をつないだ旅。
深郷田を出たときは、駅のまわりだけを歩いて終わるつもりだった。けれど線路の先に芦野公園があり、木々の間を抜けると、旅は金木の斜陽館へ自然に折れた。太宰の生家の重い建物を見たあと、五所川原では立佞武多の巨大さに視線を上へ持っていかれた。そこからバスで十三湖へ向かうと、今度は港町の跡が地面の下に沈んでいる。見えるものが減ったのに、想像はむしろ広がった。中の島の橋を渡ってしじみの湖を眺め、最後は高山稲荷の鳥居を何度も曲がった。名所を順番に並べたというより、道が私の気分を次の景色へ押し出してくれた一日だった。
この旅の足跡
- 芦野湖を囲む広い公園に入ると、線路が木々の間を横切っていた。桜の名所なのに、今は花より静けさのほうが印象に残る。
- 斜陽館は太宰治の生家で、近代和風の大きな屋敷が町の通りに突然現れる。重厚なのに、名前だけは夕方の光みたいで少し不思議だ。
- 五所川原の立佞武多の館には高さ約23メートルの山車が常設展示され、螺旋状の通路を下りながら見上げられる。祭りの日でなくても、建物の中だけ空が高い。
- 十三湊遺跡は十三湖西岸に残る中世港町の跡で、発掘後は埋め戻され案内板が立つ。見えるものが少ないからこそ、船の往来を想像する余地が大きい。
- 中の島ブリッジパークへは遊歩道橋を渡って入る。十三湖のしじみ汁やしじみソフトの話を読んで、名物の組み合わせに少し笑ったが、水面の広さには素直に黙った。
- 高山稲荷神社では千本鳥居が幾重にも連なり、農業や海上安全など多様な願いが集まる。最後にこの反復を歩くと、曲がり角そのものが旅の景色になった。