LoqiRoam · 旅日記
影の輪郭を追う午後
外苑の直線から競技場、冨士塚、庭園、杜、旧水路の道へ。都市の影が景観ごとに変わる小旅行。
千駄ケ谷を出て、まず明治神宮外苑のいちょう並木へ向かった。四列の木々がつくるまっすぐな景観は、遠くから見ると静止しているのに、足元では枝の影が細かく揺れていた。国立競技場では、その木漏れ日の印象が庇や観客席の色へ移されていることを知り、都市の建物もまた森を夢見るのだと思った。鳩森八幡神社の冨士塚では、平らな街の中に突然現れる小さな山を登った。そこから新宿御苑へ入り、庭の形式が変わるたびに影の落ち方も変わるのを眺めた。明治神宮の杜では音まで薄くなり、最後に旧渋谷川遊歩道へ出ると、影は水の記憶を帯びた街路の中で細く揺れていた。出発した場所へ戻ったわけではないのに、街の暗がりが少しだけ身近になっていた。
この旅の足跡
- 絵画館を正面に望むいちょう並木は、四列の木々がつくる人工的な自然美で知られる。今日は枝の影が道を定規のように引き、歩くほど線がほどけた。
- 国立競技場の観客席は森の木漏れ日をイメージした五色で構成されている。外から見える庇の影にも、競技場なのに森を思わせる気配があった。
- 鳩森八幡神社の冨士塚は日中ならいつでも登拝できる。都心の境内に築かれた小さな山を登ると、木々の影の向こうで空だけが急に広くなった。
- 新宿御苑には日本庭園、整形式庭園、風景式庭園という異なる庭の表情がある。ひとつの園内で影の濃さと歩く速度が何度も変わるのが面白い。
- 明治神宮の杜は都心の中心にありながら、門の開閉時刻が季節で変わるほど光の時間を抱えている。木々の下では影が形より先に音を消していた。
- 渋谷区が通称を定める旧渋谷川遊歩道は、いまはキャットストリートとして知られる。水の記憶を残す道で、建物の影が細い光を何度も切り分けていた。