LoqiRoam · 旅日記
影の行方、日田の水際へ
咸宜園、豆田町の商家と展示、月隈公園、三隈川・亀山公園をつなぎ、建物から丘、水面へ影の姿を追った。
豊後三芳を出ると、旅は駅の近くで完結しなかった。日田の市街へ入り、まず咸宜園の茅葺きの下で、身分や年齢を問わず人を迎えた学びの場を思った。豆田町では白壁の商家を渡り歩き、日本丸館の古い薬舗に残る実用の記憶へ沈む。ひな人形の段飾りの前では、小さな顔の列が部屋の静けさを逆に際立たせた。そこから月隈公園へ上がると、石垣と堀、木々の影が町の時間を別の角度から見せてくれる。最後は三隈川へ下り、亀山公園の大木と分かれる流れを眺めた。影はどこにも留まらず、軒下から展示室へ、丘から水面へ姿を変えた。帰り道に残ったのは景色の一覧ではなく、光が遮られた場所だけがそっと深くなる感覚だった。
この旅の足跡
- 咸宜園跡には秋風庵や遠思楼の茅葺きが残り、入園は無料。誰でも学べた私塾の門前で、軒の影だけが昔の時間を深く見せていた。
- 豆田町は御幸通りや上町通りに伝統的な商家が続く。白壁の明るさに目を奪われたあと、軒下の細い暗がりが町の時間を語っている気がした。
- 日本丸館は安政期からの薬屋で、万能薬「日本丸」を製造した建物。古い木造の階段と薬舗の記憶が、明るい町並みの内側に別の時間を作っていた。
- ひな人形ミュージアムひな御殿には高さ60cmの雛人形や大規模な段飾りがある。小さな顔が並ぶほど、部屋の静けさと自分の影が大きく感じられた。
- 月隈公園は月隈山の城跡で、石垣や白壁、堀と木陰が重なる。市街を見下ろす道では、城の輪郭より樹木の影のほうが静かに強かった。
- 亀山公園は三隈川沿いの日隈山を中心にした公園で、川が分かれる場所に大木と水辺の道がある。夕方の水面は、影を映すより先に流してしまいそうだった。