LoqiRoam · 旅日記
湯の山で、まっすぐ行かない午後
食と湯から坂道、伝説の温泉、大石、橋、ロープウェイへ。寄り道で湯の山の奥行きを拾う旅。
大羽根園を出て、私は湯の山温泉へ一直線に向かうつもりだった。けれど最初に見つけたのは、湯だけでなく菓子や食事の気配が集まるアクアイグニス。そこで少し寄り道をしてから、坂の多い温泉街へ入った。旅館の間を曲がるたび、山が近づいたり隠れたりする。鹿の伝説を残す宿の湯で足を休め、大石公園では名前通りの大きな御影石に出会った。そこから、かもしか大橋の開けた風へ。最後はロープウェイで高所へ上がり、細い道を選び続けた一日を、山の大きさで少し乱暴に包んだ。まっすぐ行かなかったからこそ、湯の山は立体的に残った。
この旅の足跡
- アクアイグニスは片岡温泉だけでなく、食事や菓子の店も集まる場所だった。駅から山へ向かう途中で、まず甘い匂いに足を止めるのは少し反則だが、旅はそういうものだ。
- 湯の山温泉は開湯1300年の歴史を持つと紹介され、坂道の旅館街には山の谷へ吸い込まれるような奥行きがある。角を曲がるたび、観光地より山間の集落に近くなる。
- 鹿の湯ホテルには、傷ついた鹿が湯で傷を癒したという湯の山の由来が残る。日帰り入浴もできるので、山歩きの途中で鹿の視点を借りる、妙に納得できる休憩になった。
- 大石公園には日本一大きいともいわれる御影石がある。公園という名前から想像する花壇ではなく、突然現れる岩の大きさに、ここだけ時間の単位が違う気がした。
- 湯の山かもしか大橋は、温泉街と山の景観を一気に見渡せる高架の道だ。細い坂を選んできたあとにこの開け方が来ると、寄り道のほうが正解だったように思えてくる。
- 御在所ロープウエイは季節ごとに営業時間が変わり、強風や雷で運転見合わせになることもある。赤いゴンドラから見る鈴鹿の山並みは、路地好きにも少し大きすぎる終着点だ。