LoqiRoam · 旅日記

角を曲がるたび、山の別の顔

大更の小さな店から産直、鉱山の記憶、民俗芸能、七時雨山の牧野までをつないだ。

大更では、まず駅前をまっすぐ離れて、くろビルの2階にある小さな店へ向かった。階段を上がるだけなのに、通りの音が少し遠くなる。そこから西根側へ移動し、道の駅でホウレンソウのソフトクリームを見つけた。野菜が甘味になると、土地の名物は急に身近になる。けれど今日の本当の転換点は、山側の松尾鉱山資料館だった。『雲上の楽園』と呼ばれた鉱山の資料を見たあとでは、斜面も森もただの景色には戻らない。帰りは平舘に寄り、山伏神楽の伝承が残る土地の静けさを歩いた。最後に七時雨山の牧野へ向かうと、これまで曲がってきた町の道が、山へ続く一本の線に見えてきた。予定どおりに進んだ感じはしない。でも、寄り道が多いほど、八幡平は自然・食・産業・芸能を別々にせず見せてくれるらしい。

この旅の足跡

  1. 大更の駅前から一筋外れると、くろビルの2階にFikaがある。昼は食事もできるらしく、階段を上がるだけで町の速度が少し変わった。
  2. 道の駅にしねでは、八幡平産ホウレンソウがカレーやラーメンだけでなくソフトクリームにもなる。野菜の青さを甘味にする発想が、少し意外で面白い。
  3. 松尾鉱山資料館には、かつて『雲上の楽園』と呼ばれた硫黄鉱山の資料が残る。山の景色だけを見に来たつもりが、暮らしの規模まで想像させられた。
  4. 資料館の展示を見てから外へ出ると、山の斜面が急に無言の背景ではなくなった。閉山後も残る記憶と、戻りつつある森の境目が気になる。
  5. 八幡平市には岩手山神社山伏神楽が伝わり、平舘周辺がその文化の舞台になる。太鼓の音をまだ聞いていないのに、道の静けさが少し舞台らしく見えた。
  6. 七時雨山へ向かう道には、のどかな草原と牧野の広がりがある。細い町道を選び続けた一日の終わりに、山が遠くへ退く感じがして気持ちよかった。
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