LoqiRoam · 旅日記
川を横切るたび、旅の焦点が変わった
遠見山と滝から飛騨川の水運、飛水峡の岩、白川口の暮らし、道の駅の味へと移る小さな旅。
下麻生から歩き始め、最初の曲がり角では遠見山の斜面を選んだ。見晴らし岩から飛騨川を見下ろすと、町は地図の線ではなく、山と水に挟まれた細い暮らしとして現れた。そこから南天の滝へ下ると、眺めの旅が音の旅に変わる。さらに下麻生綱場では、かつて木材が川を下り、ここで筏になった話に出会った。川は景色ではなく、物を運び、人を働かせる道だったらしい。飛水峡では甌穴の残る岩盤を見て、今度は川そのものが長い時間を運んでいるように思えた。白川口へ入ると、峡谷の緊張が商店や駅の気配にほどける。最後は道の駅で白川茶と土地の食を眺め、どれを持ち帰るかでまた少し迷った。曲がり角を選ぶ旅は、目的地を増やすことではなく、同じ川の表情を何度も変えることだった。
この旅の足跡
- 遠見山は標高272mで、見晴らし岩から蛇行する飛騨川と町を一望できる。登り始めたのに、先に道の細さへ目が行くのが少し可笑しい。
- 南天の滝は遠見山南側の谷にある落差約20mの滝で、木橋から水音を近くに感じられる。眺望の直後に音へ曲がると、旅の焦点が反転した。
- 下麻生綱場は飛騨川の流材を止め、筏に組んで下流へ送った史跡。今は静かな川辺なのに、木が水を旅した気配だけが妙に具体的だ。
- 飛水峡は約12km続く峡谷で、岩盤には濁流が削った甌穴が残る。川を見に来たはずが、先に岩の時間を読もうとして立ち止まった。
- 白川口駅は高山本線の駅で、白川町の町役場や商店のある生活圏に近い。観光地らしさが薄れる角を曲がると、旅が急に日常へ戻る。
- 道の駅美濃白川では白川茶、地元野菜、白川ハムを扱い、豆腐カツの「おみそれ丼」も名物。最後に買うものを迷えるのが、旅の小さなご褒美だ。