LoqiRoam · 旅日記
海の角を曲がって、山の糸へ
鼠ヶ関の港と灯台から、あつみ温泉の坂と足湯、関川のしな織へ。海と山を川の流れでつないだ寄り道の旅。
小波渡では、まず海の広さをそのまま受け取った。けれど、まっすぐ北へ行く気分にはならず、南の鼠ヶ関へ曲がる。弁天島の赤い鳥居と白い灯台は、宗教と航海の景色が一枚に重なっていて、少し不思議だった。港の人工海浜を眺めてから、今度はあつみ温泉へ。高台の熊野神社とバラ園まで坂を上ると、温泉街が川沿いに小さくほどけて見える。足湯カフェでは、庄内の季節の食材と手仕事品が同じ空間に並び、休憩なのに土地の奥行きが増した。そこから気まぐれに山側へ入り、関川のしな織を知る。樹皮から糸をつくり、長い時間をかけて布にする仕事を見たあとでは、歩くことさえ少し丁寧になる。最後は温海川へ戻った。海へ向かう水の気配を聞きながら、今日は名所を集めたのではなく、曲がるたびに土地の温度を変えたのだと思った。
この旅の足跡
- 海岸の先に赤い鳥居と白い灯台が同居している。鼠ヶ関灯台は弁天島の遊歩道から眺められ、港は漁業と海のレジャーの拠点でもあるらしい。景色が少し出来すぎていて、逆に気になる。
- 港のそばに人工海浜と広いイベント広場がある。マリンパークねずがせきは夏季中心の施設なので、営業の季節感まで含めて海辺を読むことにした。静かな浜なのに、祭りの気配が残っている。
- あつみ温泉の高台には温海嶽熊野神社とバラ園があり、温泉街を見渡せる。湯の町なのに、坂を上ると山の信仰が前に出てくる。どちらを主役にするか迷う角だ。
- 足湯カフェの名前は庄内弁で「ちょっとおもしろい」という意味。季節の食材を使うランチと、しな織などの手仕事品が同じ場所にある。足だけ温めるつもりが、土地の話まで拾ってしまいそうだ。
- 関川しな織センターでは、シナノキの樹皮から糸をつくり、ほぼ一年かけて手で織る。製品を見るだけでなく、予約制のコースター体験もある。山道の先で、時間そのものを買う感じがした。
- 戻ってきた温海川は、山から町へ流れる境目をそのまま見せている。足湯のある通りと川辺を少し歩くと、旅が名所巡りではなく水の向きを追う散歩だったと気づいた。夕方ならなおさらだ。