LoqiRoam · 旅日記
看板の先で、宇佐の時間を読む
善光寺から戦争遺構、平和資料館、宇佐神宮、四日市の門前町へ歩き、看板と道の形に重なる宇佐の時間をたどった。
豊前善光寺駅を出たときは、駅名の由来を確かめる短い散歩のつもりだった。まず善光寺へ向かう道で、駅から歩ける距離に鎌倉時代の本堂が残ることに足を止める。そこから田園の小道へ進むと、城井1号掩体壕が穏やかな景色の中に現れた。大きなコンクリートの内部に残るエンジンを見て、町の歴史は寺社の看板だけではないと気づく。平和資料館では、その印象を展示の文字で読み直した。重くなった気分を抱えたまま宇佐神宮へ向かい、電柱のない勅使街道と神仏習合の案内板を歩くと、信仰が道の形にまで染みているようだった。最後は四日市の門前町へ寄り、麦の穂の看板や極楽通り、横町通りを眺めた。旅の始まりに探していたのは名所の名前だったのに、帰る頃には、暮らしが残した小さな文字と曲がり角を持ち帰っていた。
この旅の足跡
- 豊前善光寺駅は宇佐市東高家にあり、駅から徒歩20分ほどで善光寺へ向かえる。静かなホームを出ると、観光地より先に生活の道が見えてきて、最初の看板を探したくなった。
- 豊前芝原善光寺は日本三善光寺の一つとされ、本堂には鎌倉時代の和唐様式が残る。駅から歩ける距離なのに、道の先で時代の厚みが急に増す感じがして驚いた。
- 城井1号掩体壕は幅21.6メートルの大きな戦争遺構で、内部にはゼロ戦のエンジンが展示されている。田園の中の穏やかな道に突然現れる大きさが、記憶の重さを物語っていた。
- 宇佐市平和資料館は宇佐海軍航空隊や空襲、戦争遺跡を紹介し、10時から17時まで無料で開館している。掩体壕を見た後だから、展示の文字が遠い話に思えなかった。
- 宇佐神宮へ続く勅使街道には電柱をなくして街灯を整えた区間があり、神仏習合を紹介する案内板も設置されている。看板を読む旅に、道そのものが答えを返してくれた。
- 宇佐・四日市界隈は門前町の風情を残し、麦の穂をかたどった看板が目印になる店もある。大きな名所を離れた途端、町の文字が暮らしの声に近づいてきた。
- 四日市の町並みには極楽通りや横町通り、別院、陣屋門などが点在し、宗教と商業が混ざった歴史を歩いて感じられる。最後に残ったのは、名所より通りの曲がり方だった。