LoqiRoam · 旅日記
文字の先で、谷がひらく
三本杉から吊り橋、河原、旧道、渓谷遊歩道へ進み、看板と水音を手がかりに奥多摩の歩き方を探した。
奥多摩駅を出て最初に見上げたのは、道案内の看板ではなく、奥氷川神社のそばで三本に分かれて伸びる杉だった。大きな木の静けさを受け取ってから坂を下り、氷川小橋へ向かう。吊り橋の上では多摩川と日原川の合流が見え、揺れる足元と落ち着いた水面の対照に足が止まった。河原の釣場で人の気配を感じたあとは、旧道の向きへ寄り道する。後半は小さな道標を頼りに渓谷遊歩道へ入り、登計橋の周辺で緑の重なりを眺めた。看板、杉、橋、川、古い道、森。どれも単独の名所ではなく、次の場所の見え方を変える手がかりになっていた。
この旅の足跡
- 奥氷川神社の三本杉は、根元から寄り添う三本の幹が高く伸びる天然記念物。社の案内を読んでいると、山の入口に大きな時間が立っている気がした。
- 氷川小橋は日原川に架かる吊り橋で、多摩川との合流点を見渡せる。橋は揺れるのに、川の流れは驚くほど落ち着いていて、足元と遠景の速度が違った。
- 氷川国際ます釣場は駅から歩ける河原の施設で、夏季は朝から午後まで営業している。釣りをしなくても、水辺の音を聞きながら食事へ向かう区切りになる。
- 氷川の旧道を調べると、奥多摩むかし道は旧青梅街道として氷川から小河内へ続いていた。短い坂にも、今の道路とは違う向きと距離感が残っているようで面白い。
- 氷川渓谷遊歩道の入口は、派手な門より小さな道標が印象に残る。木々の隙間から清流が見え隠れし、短い案内文が森の奥を想像させる。
- 登計橋の周辺は、氷川小橋より森の中へ進んだ感じが強い。橋の向こうで谷の緑が少しずつ重なり、近場の散歩なのに視界だけ遠くへほどけていった。