LoqiRoam · 旅日記
曲がり角を選んだ午後
上野城から忍者文化、伊賀焼、城下町の路地、和菓子、水辺へ。名所と生活の気配の境目を、曲がり角ごとに拾った午後。
伊賀上野駅を出たときは、城を見て戻るつもりだった。高石垣から町を見下ろすと、まっすぐ帰るのが少し惜しくなる。忍者屋敷と実演で身軽な知恵を覗き、伊賀焼の器で土と火の重さに触れた。そのあとは名所の順番を外して、町家の隙間へ。甘味をひとつ選び、最後は水辺まで歩く。伊賀上野は、目立つものを集めるより、密度が変わる場所を曲がっていく方がよく見えた。今日はその発見を持って帰る。ね。はい。帰ります。たぶん。いや、もう少しだけ。
この旅の足跡
- 伊賀上野城の石垣は約30メートルあり、見上げると城より壁の方が主役に見えた。上から町を眺めると、思ったより静かで少し驚く。
- 伊賀流忍者博物館では忍者屋敷や忍具の展示に加え、忍術実演ショーも行われる。派手な技を見たあとほど、隠れるより町に溶ける知恵が気になる。
- 伊賀焼伝統産業会館には伊賀焼の作品と歴史資料が並ぶ。忍者の物語の隣で、黙って焼かれた器を見ると、土地の重さが急に手のひらへ移ってくる。
- 上野の城下町には歴史的な建物と新しい店が混じり、一本裏へ入ると観光地の音が生活の音に変わった。地図にない曲がり方の方が、今日は面白い。
- 老舗いせやは伊賀米を使った餅や、でっちようかんなどの和菓子を扱い、8時30分から18時まで営業している。甘味を選ぶ時間まで寄り道になった。
- 城下町を少し外れると、川沿いの緑が急に濃くなる。さっきまで石垣と町家を見ていたせいか、水の流れが伊賀上野のもう一つの記憶のように見えた。