LoqiRoam · 旅日記
潮の音へ、石の港をめぐる
港の建築から物産、石積み埠頭、水路、文学と回漕店へ、音の焦点を変えながら歩いた。
三角駅を出ると、最初に待っていたのは海のピラミッドだった。二重螺旋の内側を歩くうち、列車の音が船の出入りを待つ港のざわめきへ変わっていく。隣のラ・ガールで海産物や海藻パンを眺め、旅は観光の輪郭から暮らしの手触りへ少し近づいた。そこから西港へ移ると、風景の時間が急に古くなる。石積み埠頭、排水路、橋。その順に耳を澄ますと、広い海の音が足元の水音へ細くほどけていった。浦島屋では文学の記憶に立ち止まり、最後は旧高田回漕店へ。船を待つ人や荷を運ぶ人の姿を思い浮かべながら、港は景色ではなく、音の重なりでできているのだと思った。
この旅の足跡
- 海のピラミッドは直径34メートル、高さ25メートルの二重螺旋を持つ港の待合所。階段より、船を迎える巨大な渦のように見えた。
- ラ・ガールには地元の海産物や農作物が並び、自家製ちくわや海藻パンもある。店先のざわめきが、港の風より生活に近く聞こえた。
- 三角西港の石積み埠頭は明治20年開港時の姿を伝え、目の前は三角ノ瀬戸。穏やかな水面なのに、昔の荷揚げの掛け声が遠く残る気がした。
- 三角西港には排水路と四つの石橋が残り、潮と町の水をつないでいた。橋のたもとでは海鳴りより、細い水の行き先が気になった。
- 浦島屋は小泉八雲が立ち寄った旅館を復元した建物で、現在の案内では9時から17時。海辺に文学の声が薄く重なって見えた。
- 旧高田回漕店は築港当時の面影を残し、旅客や貨物を扱った商いの場所だった。白壁の内側に、船を待つ人の気配を想像した。