LoqiRoam · 旅日記

取手の角、風の方へ

宿場町の記憶から発掘資料、現在のアート、利根川、田園へ。取手の密度がほどける道を選んだ。

取手駅を出て、まずは駅前の便利さから少しだけ身を外した。旧水戸街道と宿場の記憶が残る通りでは、建物の古さより、軒先と道の近さに惹かれた。染野家の本陣建築で、かつて大名や旅人が休んだ時間を想像し、そのあと埋蔵文化財センターへ向かう。近世だけでなく、遺跡や市史資料まで重なっていると知ると、歩いている道の下にも別の道があるように思えてくる。そこから取手アートプロジェクトへ戻ると、この街は保存されるだけでなく、今も誰かによって作られている。利根川の河川敷では建物の密度がほどけ、風と水面が旅の主役になった。最後は田園へ。曲がるたびに景色が薄まり、選ばなかった角の数だけ、まだ知らない取手が残った。

この旅の足跡

  1. 駅前の道を少し外れると、取手宿の名残が感じられる。旧水戸街道の軒先は距離が近く、名所を急いで回るより、角ごとの暮らしを拾いたくなった。
  2. 水戸街道の取手宿で、染野家は1687年に本陣へ指定された。金曜から日曜に公開される建物を前にすると、旅人の休憩所だった場所が今も角の向こうに残る不思議がある。
  3. 取手市埋蔵文化財センターは、遺跡だけでなく市史の歴史資料も保存・活用している。駅前の現在から少し離れ、出土品の静けさに耳を澄ますと、町の下にも別の道がある気がした。
  4. 取手アートプロジェクトは1999年から市民・取手市・東京藝術大学が共同で続けている。歴史を見たあとにここへ戻ると、街は保存されるだけでなく、今も作られていると気づく。
  5. 取手緑地運動公園は利根川の河川敷にあり、ウォーキングコースや多様な運動施設が広がる。細い道で集めた気配を、風と水面の大きさへいったん返したくなった。
  6. 小堀の渡しは利根川改修で分断された地域を結ぶため大正3年に始まり、今も三つの船着き場を結ぶ。船を待つ時間まで含めて、道の続きを水上に任せてみたい。
  7. 田園の畦道には、目的地らしさがほとんどないのに、曲がる余地がたくさんある。水田と空の境目を歩くと、取手が一つの中心ではなく、細い道の集まりに見えてきた。
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