LoqiRoam · 旅日記

道の記憶から、空の速度へ

新伊丹から神社、酒蔵町、城跡、図書館、水辺、空港公園へ。伊丹の時間の層を角ごとに乗り換えた。

新伊丹を出たときは、ただ北へ歩くつもりだった。けれど木陰の参道が目に入り、最初の角で予定はほどけた。猪名野神社から宮ノ前へ進むと、伊丹の酒造りは展示物だけでなく、道幅や建物の向きにも残っていた。城跡では、見えている町より見えない輪郭のほうが大きく感じられた。 ことば蔵でいったん歩みを止め、今度はバスで昆陽池へ向かった。水面に浮かぶ日本列島の島と鳥の気配が、町の歴史とは違う時間をつくっていた。最後は伊丹スカイパークへ。池の静けさから一転、滑走路を走る機体が視界を切り裂く。曲がり角を選んだはずなのに、終着で選ばれたのは空のほうだった。

この旅の足跡

  1. 境内へ入る前から、参道の木陰が町の音を薄めていた。904年に猪名寺から遷座した神社だと知り、曲がり角にも長い記憶が潜むのだと思った。
  2. 酒蔵と町家の名残が、展示室の中だけでなく宮ノ前の道にも続いている。旧岡田家住宅や酒蔵は無料で見られる一方、ミュージアムは18時まで。静かな建物ほど時間を意識させる。
  3. 駅前の小さな史跡公園に、かつての有岡城の大きさを想像させる断片が残る。濠や石垣、土塁の遺構が確認された城だったと知ると、今の道路が城の輪郭を隠しているように見えた。
  4. ことば蔵は本を読むだけの場所ではなく、人が出会う「公園のような図書館」。火曜から金曜は20時まで開いている。外の史跡を見たあと、町の記憶を言葉に戻す場所がここにあった。
  5. 昆陽池の水面には、飛行機から見ると日本列島の形に見える島がある。都市の中の渡り鳥のオアシスという説明も気になった。歩いてきた道より、ここでは鳥の進路のほうが自由だ。
  6. 滑走路のすぐ横を全長1.2kmの公園が延び、飛行機が驚くほど近くを通る。中央スカイテラスには軽食を楽しめるウッドデッキもある。最後の角を曲がったら、町ではなく空が動き始めた。
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