LoqiRoam · 旅日記

曲がり角は、街の速度を変える

巣鴨の門前町から都電、飛鳥山、二つの庭園へ、道の密度と空の広がりをつないだ徒歩中心の旅。

巣鴨駅を出て、まず地蔵通りの赤い提灯と軒先の甘い匂いに捕まった。ここは人の流れがはっきりしているのに、旧中山道の線を少し意識すると、商店街がただの買い物道ではなく、昔から続く歩幅の器に見えてくる。高岩寺では洗い観音に水をかける手つきが周囲の喧騒を静め、次の庚申塚では都電が住宅のすぐそばを通り過ぎた。歩き続けるつもりが、路面電車に街の見方を一度預けることになる。飛鳥山公園へ上がると、さっきまでの細い道が空と斜面にほどけた。そこから旧古河庭園の洋館と日本庭園の高低差へ進み、最後は六義園の藤代峠で池と木立を見下ろした。名所を順番に集めたというより、曲がるたびに街の速度が変わる旅だった。

この旅の足跡

  1. 巣鴨地蔵通り商店街は、旧中山道の道筋に店が連なり、赤い提灯や軒先の菓子が歩く速度を自然に遅くする。賑やかなのに、曲がり角ごとに生活の匂いが残っている。
  2. 高岩寺の洗い観音は、参拝者が観音像に水をかけ、布でそっと撫でる場所。門前町の騒がしさがここだけ少し内向きになり、手の動きに旅の速度を合わせたくなる。
  3. 庚申塚停留場では、都電荒川線の車両が住宅のすぐ脇を滑っていく。駅の大きさではなく、路面電車が街の細部に入り込む感じが面白い。次の角を車両に任せたくなった。
  4. 飛鳥山公園は、王子駅近くの高台に桜や遊歩道が広がり、斜面を上ると建物の密集がほどける。都電を見送ったあとにこの空の広さが来るとは、少し意外だった。
  5. 旧古河庭園では、洋館を見上げる斜面と、低い位置に広がる日本庭園が一つの敷地に重なる。バラの華やかさだけでなく、石段の高低差が景色を何度も折り曲げていた。
  6. 六義園の藤代峠は、園内の池と木立を少し高い位置から見渡せる。大名庭園のスケールを感じながらも、上り下りの途中には都心の庭らしい細い視線の抜けがあった。
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