LoqiRoam · 旅日記
看板の先に、海と記憶
神社、食堂、展望台、静かな海、郷土資料館をつなぎ、二田の暮らしと景色の変化を歩いた。
二田では、まず地名を背負った神社へ向かった。駅の近くにあるはずの町が、鳥居をくぐると急に木立の静けさへ変わる。そのあと国道沿いの江川で食事を挟むと、旅は観光の顔から生活の顔へ切り替わった。道の駅てんのうでは、産直や温泉の案内板を眺めながら天王スカイタワーへ上がり、日本海と八郎湖を同じ視界に収めた。高い場所の次に選んだのは、開設されていない出戸浜だった。人を呼ぶ看板が消えた砂浜には、波の音だけが残り、季節や地形が町の予定を変えることを教えられた。最後は山側の郷土文化保存伝習館へ。石川理紀之助の資料を通して、海辺の景色を支えてきた農村の時間に触れた。短い移動の中で、看板は道案内であると同時に、その土地が何を大切にしてきたかを知らせる手紙のようだった。
この旅の足跡
- 二田神社は秋田県潟上市天王字二田184-2にあり、駅の気配から少し離れると木立の奥へ道が細くなる。鳥居の先は何を守ってきた場所なのだろう、と歩幅が自然に落ちた。
- 国道沿いのファミリーレストラン江川は昼と夕方の二部営業で、定食や麺類を扱う。大きな看板の気取らなさに、観光地ではない町の昼休みが見え、ここで一度お腹を整えたくなった。
- 天王スカイタワーは高さ59.8mで、展望台から日本海や八郎湖、男鹿半島を見渡せる。道の駅の案内板を追って歩くと、買い物の場所が一気に眺望の場所へ変わるのが面白い。
- 出戸浜海水浴場は砂浜の侵食などの影響で今年度は開設されていない。海の家の賑わいを想像していた場所に、波と空だけが残る。その静けさが、旅の途中でいちばん強い看板になった。
- 潟上市郷土文化保存伝習館は石川理紀之助の遺著や地域の歴史・民俗・産業資料を展示し、9時から開館する。海から山側へ戻る道で、土地を耕した人の文字に出会えるのが楽しみだ。