LoqiRoam · 旅日記
門の木目、川の杉、卵の黄色
扇田の町並み、川辺の神社、比内の味、田園の山、家を継いだカフェをつないで歩いた。
扇田駅を出て、まずはふれあい公園から町の速度に合わせた。最初に見つけたのは、郵便局のそばに残る長岐邸武家門。白壁と総ケヤキの大きな門が、今の暮らしのすぐ隣にある。その後、米代川沿いの扇田神明社へ歩くと、巨木の葉擦れに水音が重なり、歴史が看板ではなく空気として残っていることに気づいた。道の駅ひないでは比内地鶏卵のソフトクリームを選び、濃い黄色をひと口。甘味で気分を切り替えてから、田園の向こうに見えていた達子森へ。小さな丘だと思っていた山は、近づくほど奥行きを持っていた。帰り道には、祖父母の家を改築したCOCOてらすで一息。今日は名所を制覇したのではなく、門の木目、弾玉を抱えた杉、卵の色という三つの手がかりから、土地の時間を少しだけ覗いた旅だった。
この旅の足跡
- 扇田ふれあい公園は、地域の散歩の起点らしい素朴な広場。駅から少し歩くだけで空気が田園に変わり、ここから何を拾えるか楽しみになった。
- 長岐邸武家門は白壁と総ケヤキの四本柱が印象的で、郵便局の一角に静かに残っている。立派な門なのに日常の建物へ溶け込んでいるのが意外だった。
- 扇田神明社の境内は米代川のそばにあり、巨木の葉擦れと水の気配が重なる。戊辰戦争の弾玉が残る杉まであると知り、静けさの奥を覗きたくなった。
- 道の駅ひないでは比内地鶏の卵を使った黄色いソフトクリームが通年で味わえる。濃厚そうなのに散歩の途中で食べられる軽さが、土地の名物の面白さだった。
- 達子森は田園の中にそびえる標高207メートルの山で、初心者向けの緩やかな登山道がある。駅から見えた小さな盛り上がりが、近づくとちゃんと山だった。
- COCOてらすは祖父母の家を改築した比内町のカフェで、水曜と金曜の11時から17時に開く。旅の最後に、観光地ではなく誰かの家の続きのような余白を選んだ。