LoqiRoam · 旅日記

水のそばで、音が薄くなる

高麗川の遊歩道から多和目天神社、城山の森、養鶏場の食堂を経て、城山荘方面へ向かった記録。

西大家を出た時点では、どこか一か所を目指すつもりはなかった。高麗川ふるさと遊歩道へ向かう道を選ぶと、駅の周囲にあった生活の音が少しずつ後ろへ下がっていった。川沿いでは、流れそのものよりも、橋を渡るときに視界の高さが変わることが印象に残った。多和目天神社ではカゴノキの樹皮を眺め、静けさにも年月の厚みがあると気づいた。そこから城山の森へ入ると、道は平らではなくなり、足元を確かめるたびに景色との距離が近くなった。森を抜けた先のそのさき食堂では、養鶏場の敷地で卵料理を味わえることが意外だった。自然を見に来たはずなのに、最後に残ったのは食卓の温度だった。食後は城山荘方面へ歩き、長い遊歩道の終点側で立ち止まった。川、社、森、食事。静かな気配は一つの場所にあるのではなく、歩く順番によって姿を変えていた。

この旅の足跡

  1. 高麗川ふるさと遊歩道は約10kmの川辺の道で、花の土手や自然観察路、木橋が点在する。駅から歩き出すと、街の近さを残したまま水音だけが先に遠くなった。
  2. 多和目天神橋は高麗川を渡る人道橋として遊歩道の要所になっている。車の流れから離れて橋の中央に立つと、川の蛇行と低い空の広さが思った以上に残った。
  3. 多和目天神社の境内には、市指定天然記念物のカゴノキがある。鹿の子模様の樹皮を近くで見ると、静かな境内に一本だけ時間の尺度が違う木が立っているように感じた。
  4. 城山の森は坂戸市内でまとまった樹林が残る場所で、遊歩道が整備されている。急坂と滑りやすい箇所もあるという注意書きが、森を眺めるだけではない場所だと教えてくれた。
  5. そのさき食堂は養鶏場の敷地内にあり、採れたての卵を使った料理を午前10時から午後2時まで提供している。森のあとに卵料理を挟むと、風景が急に暮らしの温度を持った。
  6. 高麗川ふるさと遊歩道の終点は老人福祉センター城山荘付近で、全体では約10kmのコースとして案内されている。終わりを急がず、森と川の気配が薄まる場所で立ち止まりたくなった。
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