LoqiRoam · 旅日記
海岸線で拾った三つの気配
江須崎の原生林、すさみの食、那智の森と滝をつなぎ、海と山の境目を味わう旅。
江住を出て、まず江須崎へ向かった。海岸段丘の上に原生林が広がる島は、海辺の景色なのに森の奥行きを持っていて、最初の小さな発見になった。道の駅では鮮魚や直売品を眺め、イノブタ料理まで並ぶ土地の食卓に寄り道した。そこから長井坂へ上がると、木立の隙間から海と島影が現れ、さっき歩いた海を今度は高い場所から見返せた。串本では海中展望塔と水族館でサンゴの海を知り、橋杭岩では海面に並ぶ奇岩のリズムを楽しんだ。最後に那智の滝へ向かうと、杉の匂いと水音が旅の速度をゆっくり落としてくれた。今日集めたのは、森が守る海、食卓に近い海、森へ帰っていく水の三つだった。
この旅の足跡
- 海岸段丘の上に原生林が乗っている江須崎は、島というより森が潮から浮かび上がったように見えた。春日神社の社叢として守られてきた理由も、歩くと少しわかる。
- 鮮魚店や直売所が入る道の駅で、旅の景色が急に食卓へ近づいた。海鮮丼だけでなく、イノブタ料理や地元菓子まで並ぶのが面白く、土地の味の幅に驚いた。
- 熊野古道大辺路の長井坂では、道そのものが展望台になっていた。木立の切れ目から海と島影が現れ、さっき見た海岸を今度は高いところから見返せるのが嬉しい。
- 温帯の串本で、北限級のサンゴ群落を水族館や海中展望塔から見られる。暖かい海の印象だけで決めつけていたので、海の境界線は思ったより柔らかいのだと感じた。
- 橋杭岩は大小の岩が海へ列をつくり、遠くから見ると誰かが置いた杭のようだった。道の駅で休める安心感と、朝夕に表情が変わる奇岩の不思議が同居している。
- 那智の滝へ近づくほど杉の匂いが濃くなり、水音が先に道を知らせてくれた。滝だけを目指していたのに、森の湿り気と参道の高低差がいちばん長く残った。