LoqiRoam · 旅日記

影の濃淡をたどる三田の午後

有馬富士の公園から博物館、図書館、三輪神社、本町通りへ。自然と記憶がつくる影の変化をたどった。

新三田を出ると、まず有馬富士公園のひらけた芝生へ向かった。駅からは歩ける距離だが、道の先を短いバスが結んでいることも調べておいた。明るい公園では、影はまだ山の輪郭にしかならない。そこから人と自然の博物館へ入り、標本や展示の前で、自然を見つめてきた人の時間に触れた。情報が増えたぶん、外へ出たときの風が新鮮だった。隣の深田公園では、木々の影が足元で揺れて、考えをいったん無言に戻してくれた。図書館では三田の歴史を読む時間を挟み、午後の向きを変える。やがて三輪神社へ。古い信仰の気配と、裏山に残る青磁の窯跡の話が、木漏れ日の中でひとつの層になった。最後は本町通りへ下り、城下町の商家がつくる軒下の暗がりを眺めた。名所を集めたというより、明るさから暗さへ、自然から人の手へ、そして記録から実景へ移っていく一日だった。帰る頃には、影は景色の欠けた部分ではなく、土地が長く抱えてきたものの形に見えた。

この旅の足跡

  1. 有馬富士公園は178.2haの広さを持ち、徒歩なら新三田駅から約2km。芝生の明るさの下で、山の輪郭だけが濃く残るのが意外だった。
  2. 人と自然の博物館は自然との共生をテーマに1992年に開館し、17時まで見学できる。標本の静かな列を見ていると、影にも分類できない時間がある気がした。
  3. 深田公園は人と自然の博物館のすぐそばにあり、建物の近くで木々の影へ歩ける。展示の情報量から外へ出た瞬間、風のほうが先に考えをほどいてくれた。
  4. 三田市立図書館本館は横山駅から徒歩3分、9時から20時まで開館している。古い町の近くで、地図ではなく本から土地の輪郭を拾えるのが嬉しい。
  5. 三輪神社は三田市三輪三丁目にあり、8世紀半ばには存在したと伝わる。裏山には三田青磁の窯跡群も残るため、木漏れ日の下で信仰と手仕事が重なって見えた。
  6. 三田本町の町並みには三田城下の豪商の面影を残す古い商家がある。日が傾くほど軒の深い影が道に伸び、旅の最後に街そのものが記憶装置になった。
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