LoqiRoam · 旅日記
音の余韻を歩いて
上福岡のジャズから川越の時の鐘まで、生活・創作・歴史の音をつないだ。
上福岡では、まず地下の音楽店へ降りた。ジャズを聴ける場所を起点にすると、街は無音ではなく、まだ鳴っていない音を抱えているように見えた。そこから上福岡歴史民俗資料館へ歩き、新河岸川の舟運と暮らしの記憶に触れる。音楽が個人の表現なら、川にはもっと多くの人の生活音が流れていたのだと思う。運動公園ではボールの弾む音と風に切り替わり、電車で川越へ向かうと、ウェスタ川越の大きな舞台が街の現在を受け止めていた。コエトコでは古い織物市場が新しい創作の場になっていて、過去は静止していないと気づく。最後に蔵里を抜け、時の鐘の下へ。いくつもの小さな音をたどった一日は、鐘の一打でゆっくりひとつにほどけた。
この旅の足跡
- 地下へ降りると、上福岡5丁目の小さな店でジャズを聴きながら食事ができる。まだ演奏が始まっていないのに、階段の先だけ空気が少し濃く感じられた。
- 上福岡歴史民俗資料館の主題は新河岸川の社会と文化。川の流れそのものではなく、舟運や暮らしの記憶が展示になっていると知り、耳で聞く旅が急に昔の生活音へつながった。
- ふじみ野市の運動公園は約4万平方メートルあり、壁打ち練習ボードや3×3コートも無料。展示室の静けさから出ると、ボールの反響と風の音が思った以上に鮮やかだった。
- ウェスタ川越は約1700席の大ホールを備え、コンサートや演劇に対応する複合拠点。今日は客席に入らなくても、駅西口へ向かう人波が大きな舞台の前奏のように聞こえた。
- 旧川越織物市場と旧栄養食配給所を復原したコエトコは、展示室とカフェを備えた創作の拠点。古い建物なのに、ここでは過去を保存するだけでなく、次の音をつくろうとしている。
- 小江戸蔵里は旧鏡山酒造の建物を活かし、明治・大正・昭和の蔵をそれぞれ使っている。木の床に足音が吸われる一方、最後に時の鐘が町の上から時間を返してくれた。
- 時の鐘は寛永年間に創建され、川越の音風景として知られる。何度も再建された塔が今も町を見下ろしていることに、音は建物より長く残るのかもしれないと立ち止まった。