LoqiRoam · 旅日記
看板の向こうへ
洋風看板、蔵造り、菓子の路地、寺社、城跡、水辺を順に歩き、川越の賑わいから静けさへ抜けた。
川越市から歩き始め、最初に出会ったのは大正浪漫夢通りの洋風看板建築だった。石畳と電線のない空が、商店街を少し舞台のように見せている。そこから蔵造りの町並みへ進むと、時の鐘が家並みの上に高く立ち、音を待つ時間まで景色の一部になった。菓子屋横丁では色ガラスの道と飴の匂いに足を止め、すぐ近くの養寿院で賑わいの底に沈む古い時間を拾った。氷川神社では大鳥居と本殿の彫刻に祭りの気配を感じ、本丸御殿で城下町の内側へ視線を移した。最後は伊佐沼へ範囲を広げた。看板の文字を追っていた旅が、水面と柳の揺れを読む散歩へ変わった瞬間だった。
この旅の足跡
- 石畳の上に町屋造りと洋風看板建築が並び、電線のない空が通りを広く見せている。昔の商店街が映画の舞台にもなる理由が、歩くと少しわかった。
- 蔵造りの家並みの中央で、約16メートルの櫓が空へ伸びている。時を知らせる音の場所なのに、音がない瞬間ほど町の厚みがよく見えた。
- 色ガラスを散りばめた石畳に、飴やせんべいを扱う店が集まる。甘い匂いの向こうに細い抜け道があり、子どもの目線に戻される。
- 元町の古刹には河越太郎重頼の廟所があり、賑やかな菓子の通りから一歩で空気が変わる。観光地の裏側に長い時間が沈んでいた。
- 高さ約15メートルの木製大鳥居をくぐると、本殿全面の精緻な江戸彫が待っている。祭りの山車人形を写す彫刻だと知り、静けさの中に祭りを想像した。
- 本丸御殿は午前9時から午後5時まで開館する。畳の部屋と広い縁側を想像すると、蔵の商人町とは違う城下町の内側が見えてくる。
- 伊佐沼公園では沼と緑地が一体になり、桜並木や柳、芝生広場が水面にほどける。看板の多い町を歩いたあと、風の向きだけを読む時間が新鮮だった。