LoqiRoam · 旅日記

湯けむりの角を曲がる

鉄輪の細い坂道で、湯けむり、共同浴場、蒸し料理、竹細工、看板の文字を拾い、最後に高台から町を眺めた散歩。

小野屋を出発点に、別府の山側へ向かい、鉄輪の坂道に入った。大きな名所を急いで集めるより、曲がり角ごとに現れる屋号や案内板の文字を拾いたかった。湯けむりは遠景では白い雲なのに、路地へ入ると家の間から急に立ち上がり、道の温度まで変えてしまう。共同浴場の貼り紙には観光地とは違う生活の気配があり、地獄蒸しの湯気でようやく腹も旅に追いついた。帰り道に竹細工の編み目を眺めると、さっき見た格子戸や古い看板の線まで重なって見えた。最後に湯けむり展望台から町を振り返ると、今日歩いた小道が湯の流れに沿って続いているようだった。

この旅の足跡

  1. 鉄輪の湯けむりは、遠くから見るより路地の角で出会うほうが濃い。蒸気が家々の間から立ち上がり、案内看板まで少し湿って見えるのが面白い。
  2. 白い蒸気の向こうに、昔からの温泉街の道幅が残っている。細い坂、曲がり角の屋号、足元の湯の流れ。便利な観光地なのに、町の体温が消えていない。
  3. 共同浴場の前では、入浴客だけでなく近所の人の往来も目に入る。観光案内の文字と生活の貼り紙が同じ壁に並び、町の現在形を読んでいる気分になった。
  4. 蒸し料理の湯気は、温泉の蒸気と見分けがつかない。地獄蒸しの台所では、町の熱が食事に変わる仕組みが見え、立ち止まる理由が胃袋にもできた。
  5. 別府の竹細工は、編み目の反復に町の手仕事が宿っている。展示の籠を眺めていると、坂道で見た格子戸との共通点まで気になってきた。
  6. 山側の展望台では、市街地から立ち上がる湯けむりと鶴見岳の方向が一緒に見える。歩いてきた細道が遠くからは小さく、でも確かに町の一部だった。
地図と足跡で読む