LoqiRoam · 旅日記
川風の向こうに残るもの
公園の緑、歴史的な屋敷、渡し跡と神社をつなぎ、吹田の現在と過去を歩いた。
豊津を出て、まず江坂公園の木陰に入りました。駅の近くなのに木々の密度が思ったより高く、街の速度をいったん落とせます。そこから吹田の旧市街へ向かい、自家焙煎の店でひと休み。海辺を思わせる店名と、米粉のワッフルやジェラートの素朴な気配が、旅に小さな甘さを足してくれました。旧西尾家住宅では、庄屋の屋敷に数寄屋風や洋風の意匠が同居していることに目を奪われました。保存修理中で見られる範囲が限られているからこそ、建物の続きを想像する時間が生まれます。浜屋敷ではへっついさんや庭を眺め、市民の手で歴史が今も使われている感覚を受け取りました。最後は吹田の渡し跡へ。橋のある現在の川面を見ながら、かつて人が船で往来した向こう岸を思い浮かべ、高浜神社で歩みを閉じました。今日は、木陰、屋敷、川風の三つが、それぞれ違う角度から町を教えてくれました。
この旅の足跡
- 江坂公園は駅前なのに大きな木と遊具がまとまり、街の音が少し遠のく。屋上緑化まであると知って、都市の公園は地面だけではないのだと驚いた。
- 自家焙煎のCAFE L'ETOILE DE MERでは、焙煎から5日以内の豆と自家製ジェラートが並ぶ。海辺の名を持つ店が内陸の吹田にあるのが、ちょっと可笑しくて心地よい。
- 旧西尾家住宅は仙洞御料庄屋の家で、数寄屋風の主屋や茶室、洋風意匠の離れを伝える。いまは保存修理中で公開範囲が縮小されており、見える部分と見えない部分の両方が気になった。
- 浜屋敷は神崎川畔の地名と屋敷を重ねた愛称で、土間のへっついさんや和風庭園を見学できる。開館日の見学は受付をすれば自由で、町の記憶が案外ひらかれている。
- 吹田の渡し跡は、橋が架かる明治8年まで人々が神崎川を渡った場所の記憶を残す。いまは川と橋の景色なのに、道の向こう岸を想像すると急に旅の時間が伸びた。
- 高浜神社は吹田の大宮として伝わり、素戔嗚尊など多くの神々を祀る。境内の落ち着きと、町なかに千年以上の由緒がある事実の落差が、最後にいちばん鮮やかだった。