LoqiRoam · 旅日記

音の薄い方へ

香椎宮の古い木立から、中央公園の池、海上橋、護岸、干潟、海辺の休憩へと静けさの質をたどった。

西鉄千早の高架駅を出発し、まずは香椎宮へ向かった。楠並木の下では、列車や車の音が枝葉の向こうへ薄まり、綾杉の前で時間の長さを考えた。そこから公共交通でアイランドシティへ移ると、雨水でつくられた修景池に野鳥が集まり、人工物の中にも育つ静けさがあることに気づいた。午後はあいたか橋を渡り、海上の細い道で風を受けた。香椎浜の護岸では近づきすぎないことが観察の条件になり、さらに和白干潟では潮の満ち引きが景色を変えていた。最後は海を望む店で温かい飲み物をとり、遠くへ行った実感ではなく、身近な街の音の層を聞き分けられたことを旅の収穫にした。

この旅の足跡

  1. 楠並木が約800メートル続く参道は、駅前の音を少しずつ遠ざけた。御神木の綾杉を前にすると、古さは静けさの別名かもしれないと思った。
  2. 雨水でつくられた修景池の周囲を歩くと、人工の池なのに野鳥の声が先に届いた。700メートルの外周と中央のウッドデッキで、見る距離が変わる。
  3. あいたか橋は全長430メートルの歩行者・自転車専用橋。海上の休憩スペースで立ち止まると、橋そのものが街と水を分ける細い時間に見えた。
  4. 香椎浜の護岸は野鳥や干潟の生きものに配慮した急傾斜の自然石護岸。近づきすぎない距離が、かえって水際の気配を長く見せてくれた。
  5. 遠浅で砂の多い和白干潟には、貝やカニを食べる鳥が飛来する。鳥を探しているうち、潮の満ち引きが景色を二つに分けることに気づいた。
  6. 2階席が海に面した店で、歩いて薄くなった感覚を温かい飲み物に戻した。海を見ながら食事ができる場所でも、最後に残ったのは静かな波の反射だった。
地図と足跡で読む