LoqiRoam · 旅日記
角をひとつ忘れる
宮城野原から古社、木造の資料館、公園、朝市、ケヤキ並木へ。静けさと生活の匂いを曲がり角ごとに拾った。
宮城野原を出たときは、今日はただ歩けばいいと思っていた。けれど榴岡天満宮の境内で街の音が薄くなり、古い時間の入口を見つけた気がして、予定の線を少し曲げた。木造の仙台市歴史民俗資料館では、展示より先に建物の床や窓がこちらを見ているようだった。榴岡公園のベンチで風に当たると、歩く速さを選び直せた。その後の仙台朝市では、魚や惣菜の匂いと声に予定をひとつ忘れ、最後は青葉通のケヤキ並木へ。名所を順番に集めたというより、静けさ、記憶、日常、広い空へ、曲がるたびに旅の表情が変わっていった。
この旅の足跡
- 榴岡天満宮は、境内へ入ると街の音が一段遠のき、撫で牛と梅の気配が目に残る。参拝者の少ない角で、なぜここだけ時間がゆるむのか考えた。
- 仙台市歴史民俗資料館は旧陸軍歩兵第四連隊の兵舎を使った木造建築で、展示を見る前から床や窓のつくりが語りかけてくる。雨の日にも、この寄り道は良さそうだ。
- 榴岡公園は桜の名所として知られるが、花のない季節にも広い芝生と木陰があり、ベンチで街歩きの判断をやり直せる。次の角を急がなくていい。
- 仙台朝市は細い通路に魚、野菜、惣菜の声が折り重なり、観光地というより日々の台所に近い。揚げ物の匂いに引かれて、予定の角をひとつ忘れた。
- 青葉通のケヤキ並木は、中心街なのに空が細長く見える。車の流れと木々の影が交互に現れ、最後に自然へ向かう道筋をここで決めたくなった。