LoqiRoam · 旅日記
音の地図をひらく
子吉から羽後本荘、石脇、海辺を経て岩城みなとへ。街の響きから波と生演奏へ移る旅。
子吉では、列車が来るまでの短い静けさから始まった。羽後本荘へ出ると、カダーレのホールやスタジオが、音を聴く場所だけでなく誰かが音をつくる場所でもあることを教えてくれた。そこから本荘公園の土塁を歩き、由利橋で子吉川の広がりに立つ。歴史は展示室の中だけにあるのではなく、橋を渡る車や川風の向きにも残っている。石脇では、ごてんまりや刺し子の細かな手仕事に近づき、三望苑で視界をひらいた。海へ下りると、鳥海山とヨットを前に波の反復が旅の主旋律になった。最後は岩城みなとへ。ライブレストランの灯りの中で、人の演奏が戻ってきた。静かな駅、土の記憶、川、手仕事、森、海、そして声。遠回りしたからこそ、土地の音が一枚の地図になった。
この旅の足跡
- カダーレは、音楽ホールだけでなくスタジオや練習室、図書館まで抱える大きな器だった。街の方言が愛称になっているのも、建物が少し身近に聞こえる理由かもしれない。
- 本荘公園は本荘城跡の公園で、発掘では弓櫓や井戸跡、木簡まで見つかっている。木立の下を歩くと、見えない城下の足音を想像してしまい、静けさが急に厚くなった。
- 由利橋のたもとでは、子吉川と新山を一緒に眺められる。橋を渡る車の音は短く、川面の広がりは長い。旧橋から続く市民の記憶が、今の景観にも残っている気がした。
- 本荘郷土資料館には、本荘の歴史と文化に加えて、ごてんまりや刺し子、こけしなどの伝統工芸が並ぶ。石脇公園にも隣接していて、展示の細かな手仕事から草木の気配へ自然に移れた。
- 三望苑は子吉川河口の北側、新山公園の一角にある開放的な憩いの丘。森に囲まれた広場から海岸線と本荘マリーナを見渡せるので、街の音が遠くへ薄まっていくのがわかった。
- 本荘マリーナは鳥海山を望む日本海の海水浴場で、日本の水浴場88選にも選ばれている。今季の遊泳開始予定は7月18日から。波とヨットを眺めるだけでも、音の輪郭が一気に広がった。
- 岩城みなとのリバーロードは11時から21時まで営業するカフェ&ライブレストランで、駅から徒歩3分。食事の場にライブのための席があるのが面白く、最後は波ではなく人の演奏へ戻ってきた。