LoqiRoam · 旅日記
山の石垣から海の影へ
城跡の高みから武家屋敷、黒塀、町屋の茶、鮭の川を経て、瀬波の海岸で影をほどく旅。
出発してすぐに高みを目指した。臥牛山の城跡では、石垣の黒ずみと町の屋根が同じ視界に入り、遠くから眺める影には土地の時間が重なっていると感じた。下りて若林家住宅の庭へ入ると、その時間は急に人の暮らしの大きさになる。黒塀の小路では光が細くなり、町屋の茶席でようやく足を止めた。そこからイヨボヤ会館へ向かうと、静かな町の下に三面川と鮭の流れがあることを知る。最後は瀬波温泉の海岸へ。夕暮れの遊歩道で影は建物から砂へ移り、波に近づくほど輪郭を失っていった。
この旅の足跡
- 臥牛山の村上城跡は標高135メートル。石垣だけが残る山頂から城下町と三面川、日本海まで見渡せるのに、足元には焼け跡のような石の黒ずみが残っていた。
- 若林家住宅は江戸時代後期の武家屋敷。整った庭の静けさに入ると、さきほど山頂から見た町が急に生活の近くへ戻ってきた気がした。
- 安善小路の黒塀は市民の手で整えられた通り。黒い板塀に午後の明るさが細く映り、曲がり角の先だけ別の時間が続いているように見えた。
- 九重園の町屋カフェ九兵衛庵は抹茶や煎茶をいただける場所で、9時30分から16時30分まで営業。土間の暗がりに茶碗の白が小さく浮かんでいた。
- イヨボヤ会館では三面川の鮭の歴史や文化を知ることができ、季節によって産卵やふ化の様子も観察できる。水槽の動きは、町の静けさとは別の時間を刻んでいた。
- 瀬波温泉の海岸には遊歩道があり、夕日は佐渡島と粟島の間へ沈む。波音のそばでは、建物の影ではなく自分の輪郭だけが砂に長く残った。