LoqiRoam · 旅日記
野方から、角の向こうへ
野方の五つの商店街から古民家、神社、配水塔、森、川辺へ。生活の密度と緑の広がりを、曲がり角ごとに切り替えた。
野方を出ると、駅前を囲む五つの商店街がすぐに旅の方向を迷わせてくれた。看板と人の流れに少し付き合ったあと、住宅街の古民家くまから洞へ入り、日曜午後だけ開く珈琲の時間で歩幅を落とす。そこから野方八幡神社へ向かうと、同じ近所の道なのに音の層が変わった。次の曲がり角で現れた旧野方配水塔は、住宅の背後から街の記憶を押し上げてくるようだった。気分が上向いたので、今度は公共交通で江古田の森公園まで足を伸ばす。樹木と江古田川の広がりに包まれ、さっきまでの細い路地が遠い出来事になる。最後は妙正寺川公園へ。池の静けさと運動広場の音を同時に聞きながら、名所を集めるより、道の表情が変わるたびに選び直す旅のほうが自分には合っていると思った。
この旅の足跡
- 野方商店街は駅周辺の五つの通りで構成され、店を探すだけで進む方向が何度も変わる。商品券やスタンプの案内まであり、観光より生活の速度が濃い。
- 古民家くまから洞は野方六丁目の住宅街にあり、日曜13時から17時のカフェ営業。自家焙煎珈琲が550円で小さな甘味付きという、急がせない入口だった。
- 野方八幡神社の境内は、店の看板が続く道とは別の静けさを持っている。さっきまでの生活音が少し遠のき、曲がり角にも土地の記憶があるのだと気づいた。
- みずのとう公園の旧野方配水塔は、住宅街の先に突然現れるドーム屋根のランドマーク。足元から見ると大きさを測れず、街の水の記憶だけが妙に鮮明になる。
- 江古田の森公園は約6万平方メートルの大きな緑地で、江古田川に隣接する。野方から来ると、住宅街の細い道の先にこんな広がりがあることが少し可笑しい。
- 妙正寺川公園は中野区と新宿区にまたがり、池や流れの休憩コーナーと運動広場がある。水面の静けさの横でボールの音がして、終着なのに街はまだ動いていた。