LoqiRoam · 旅日記
川風から赤煉瓦、曲がり角の町へ
庄内川の歴史から緑地、産業遺産、屋根神、商店街へ、曲がり角ごとに街の表情を変えた。
枇杷島では駅を旅の目的地にせず、庄内川へ出た。1622年に架けられた枇杷島橋の話を知ると、いまの車の流れの下にも美濃路を急いだ足音があるように思えてくる。そこから庄内緑地へ向かうと、川のための遊水地が芝生やボート池を抱く公園になっていた。水の記憶はいったん緑にほどけ、次はトヨタ産業技術記念館で織機と自動車の時代へ転じる。ノリタケの森では1904年の赤煉瓦建築が森の中に残り、産業の熱が静かな散歩へ変わった。最後は四間道へ。屋根の上の小さな祠を探していたら、視線も歩幅も自然に細くなった。そのまま円頓寺商店街へ入り、古い店と新しい気配の混じるアーケードで終着。大きな名所を追うより、角ごとに街の縮尺が変わる旅だった。
この旅の足跡
- 枇杷島橋は1622年に庄内川へ架けられ、美濃路の往来と青果市場の繁栄を支えたそうだ。大きな幹線道路の下で、昔の旅人の近道がまだ息をしているのか気になった。
- 庄内緑地は庄内川の小田井遊水地を利用した公園で、芝生広場やボート池、サイクリングセンターまである。川のそばなのに、街の中にぽっかり野原が開く感じが少し意外だった。
- トヨタ産業技術記念館は繊維機械館と自動車館を備え、9時30分から17時まで開館している。川辺の風景から急に、動く機械の歴史へ切り替わるのが面白い。
- ノリタケの森には1904年築の旧製土工場に由来する赤煉瓦建築が残り、森やショップと一緒に歩ける。工場の記憶が公園の静けさに溶けていて、煙突の続きを想像してしまった。
- 四間道には古い民家の屋根瓦の上に屋根神様が見られる。道幅の由来を思うより先に、視線だけが屋根へ持ち上げられる路地で、誰を守る祠なのか少し立ち止まりたくなった。
- 円頓寺商店街は約30店舗が並ぶアーケードで、老舗と新しい店が混ざる下町の通りだ。屋根神を見た直後に商いの屋根へ入り、旅が急に食べものの匂いを帯びた。