LoqiRoam · 旅日記

佐伯で、角をひとつずつ

佐伯の城下町、文学、城跡、食、海を、寄り道の連続として歩いた。

佐伯に着いたとき、行き先は決めなかった。まず城山の麓へ向かい、石畳と白壁の残る「歴史と文学のみち」に入った。道幅が少し狭くなるたび、予定していた方向を捨てる。国木田独歩館では、かつて人が机に向かった部屋の静けさに触れ、歩いてきた通りまで文章の背景に見えた。そこから佐伯城跡へ上ると、町の屋根と海の方向がひらき、路地で拾った細部が一枚の地図になった。坂を下り、観光交流館で飲み物を手に次の角を考える。最後はごまだしの話を追って魚の町らしい味に寄り、海の見える方へ進んだ。名所を集めたというより、町の密度から空の広さへ、気分のままに歩いた旅だった。

この旅の足跡

  1. 城山の麓から続く「歴史と文学のみち」は、石畳の先に櫓門や寺、文学者の旧居が現れる。観光の順路より、次の角の気配を追うほうが似合う通りだった。
  2. 国木田独歩館は、明治の文豪が下宿した坂本永年邸を修復した施設。部屋の静けさを想像すると、さっき歩いた道まで誰かの原稿の余白に見えてくる。
  3. 佐伯城跡へ上がると、市街地の屋根と豊後水道の方向が一度に見渡せる。坂道は少し気まぐれだが、上ってから地図を見ると町の形が急にわかった。
  4. 城下町観光交流館は休憩所として使え、飲み物や菓子も扱っている。見学のための場所なのに、ここでは次にどの角を曲がるかを考える時間がいちばん贅沢だった。
  5. 佐伯の郷土料理ごまだしは、魚のすり身にごまや醤油などを合わせて使う食文化。湯に溶かす食べ方を知ると、海の町の味が思ったより即興的に感じられた。
  6. 大入島のトレッキングコースからは、佐伯湾や豊後水道を望めると紹介されている。町歩きの最後に海の広さを置くと、曲がり角の選択が少しだけ大胆になる。
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