LoqiRoam · 旅日記

峠から飯塚宿へ、音の少ない道

峠の展望から水辺、喫茶、街道、劇場、庭園へ移り、飯塚の静かな時間をたどった。

出発点から西へ向かうと、まず八木山の高みで飯塚の市街が遠くにひらけた。山道沿いの展望公園には小さな食堂もあるらしく、景色を見ながら誰かが長く座っていた時間まで想像できる。町へ下り、勝盛公園の池を一周すると、朱塗りの橋と水鳥の気配が歩く速度を自然に落としてくれた。新飯塚では喫茶soelに寄り、静かな店内でジンジャーの香りを思い浮かべながら、旅の向きを整えた。本町商店街では、毎正時に大名行列が動くからくり時計に出会った。賑やかな仕掛けなのに、動いていない時間の方が長いことが妙に印象に残る。その先の嘉穂劇場は休館中で、畳の桝席や廻り舞台の話だけが建物の外に残っていた。最後は遠賀川側の旧伊藤伝右衛門邸へ向かった。広い庭と洋間の意匠を眺めるうち、炭鉱の華やかさより、過ぎた時代を静かに受け止める庭の方がこの町らしい終着に思えた。

この旅の足跡

  1. 峠道の途中にある展望公園は、飯塚市街を一望でき、小さな食堂もあるという。山道の静けさと夜景の気配が同居するのが意外だった。
  2. 勝盛公園は大きな池を中心にした市民の憩いの場で、朱塗りの指月橋や水鳥の気配もある。桜の名所なのに、池の周りには季節を問わない静けさが残る。
  3. 喫茶soelは新飯塚駅から徒歩圏の小さな店で、落ち着いて本を読めそうな雰囲気が紹介されている。自家製ジンジャーの気配に、町の内側の静けさを感じた。
  4. 本町中茶屋のからくり時計は、長崎街道を進む大名行列を人形で再現し、10時から18時まで毎正時に動く。アーケードの静けさが一時間ごとに変わる仕掛けが面白い。
  5. 嘉穂劇場は登録有形文化財で、畳敷きの桝席や人力で動かす廻り舞台を持つ。現在は再開に向けた動きの途中で、閉じた劇場にも町の記憶が濃く残っていた。
  6. 旧伊藤伝右衛門邸には1500坪の庭園と、洋間や水洗トイレを含む近代の邸宅意匠が残る。炭鉱王の華やかさより、庭に置かれた時間の長さが最後に残った。
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