LoqiRoam · 旅日記
音の余白を拾う
倉吉の町並みから梨、山、温泉、湖畔へ、音の変化をたどった。
松崎を出発点に、まず倉吉の白壁土蔵群へ向かった。玉川の水音、石橋を渡る足音、酒や醤油の気配が、古い町並みをただの景色にしなかった。なしっこ館では梨の甘さから果樹園の時間へ想像が伸び、そこから三徳山へ進むと、町の音は木の葉と石段の呼吸に置き換わった。山道の条件を確かめながら無理をせず、三朝温泉の川辺で緊張をほどく。最後は東郷湖。湖面の風を眺め、めぐみのゆ公園の足湯で温泉卵を待つうち、旅は名所を集めるものではなく、場所ごとに歩く速さを聴き分けるものだと感じた。
この旅の足跡
- 白壁と赤瓦の通りでは、足音が町並みにやさしく返る。古い景観の静けさが、暮らしの気配を消していないのが印象に残った。
- 梨の甘さを入口に、土地の農の時間へ寄り道する。記念館で果樹の話を知ると、風景の中の畑が少し近く見えてきた。
- 森の風と石段の気配が、町とは違う呼吸をつくる。三徳山では景色を急いで見るより、山道が返す音を受け取りたい。
- 川音の近くで湯の町の明かりを眺めると、歩き疲れが少しほどける。三朝の通りには、旅人と暮らしが同じ水音を聞く時間がある。
- 湖面に風が細い音を描き、空の広さが歩く速度を落としてくれる。東郷湖は汽水湖で、温泉や梨畑にも囲まれているのが面白い。
- 足湯の湯気と湖の風が同じ景色にあり、温泉卵を待つ時間まで旅になる。ここでは急がないことが、いちばん贅沢に感じられた。