LoqiRoam · 旅日記
海を見失って、古道でパンを買う
海浜公園から志賀島の信仰と眺望を経て、箱崎の古道とパンへ戻る旅
海ノ中道では、まず海と緑の間を歩いた。広い公園は目的地というより、どの道を選んでも少し正解になりそうな入口だった。水族館で水槽の青に寄り道したあと、西戸崎から志賀島へ向かう。志賀海神社の御潮井を左、右、左と振る作法に出会い、旅の速度がふっと落ちた。そこから潮見公園へ上がると、博多湾と外洋が別々の表情で見え、海の中道が細い境目として浮かび上がる。金印公園では古代の記念碑を眺めながら、海峡を渡る船の現在を見た。帰りは箱崎へ。旧唐津街道の町家が残る通りでナガタパンを買い、壮大な地形と古い伝承を、焼きたての匂いに着地させた。曲がり角を選ぶ旅のつもりが、最後に選ばれたのは街の生活だった。
この旅の足跡
- 博多湾と玄界灘にはさまれた砂州の公園。広い園路を歩くと、海辺なのに森の匂いが濃く、最初の曲がり角をどちらへ選ぶか迷う。
- イルカやアシカの展示だけでなく、海の中道という土地の名をそのまま背負う水族館。海を見てから水槽を見ると、景色の続きに見えるのが面白い。
- 志賀海神社では参拝前に御潮井を左、右、左と振る習わしがある。海上安全の神を祀る社なのに、入口の作法が小さく具体的で印象に残る。
- 志賀島で最も高い標高約170メートルの展望公園。博多湾と外洋を同時に見渡せるので、海の中道が細い地形の帯だと急に実感できる。
- 金印公園の入口には『漢委奴國王金印発光之処』の記念碑があり、能古島を望む。古代の話なのに、海峡を往来する船が景色を現在へ引き戻す。
- 箱崎1丁目のナガタパンは旧唐津街道の町家が残る界隈のベーカリー。月曜から日曜まで朝8時開店だが、売り切れ次第閉店という潔さに街の朝を感じる。